鹿児島国体(10月3~13日)が、今秋の開催を断念することになった。19日、日本スポーツ協会、スポーツ庁、日本障がい者スポーツ協会、鹿児島県の4者が合意文書を発表した。

1、鹿児島国体及び鹿児島大会は今年秋には開催しない。

2、鹿児島国体及び鹿児島大会は延期することとし、具体的な開催時期については、可能な限り早期の結論を得るべく、引き続き、調整・検討を継続する。

この日、都内で日本スポーツ協会伊藤雅俊会長、スポーツ庁鈴木大地長官、日本障がい者スポーツ協会鳥原光憲会長が会見に出席。さらに鹿児島県の三反園訓知事もウェブ形式のリモートで会見に参加した。

延期後の開催時期について、伊藤会長は「全体をどうすることが一番いいか、検討しています。どこがいいか、何年後がいいか、決まっていません。より幅広い検討をしていく」とした。コロナ禍にもよるが、次回の国体開催は早くても1年後の来年秋を予定。

ただ次回国体が必ずしも鹿児島で開催されるとは限らず、他の県で開催した後に鹿児島に回る可能性もあり、すべてはこれからの交渉になる。ひとまず鹿児島国体は来秋以降に延期となったが、20年の国体は事実上“中止”となった形だ。

会見では今秋の断念について理由が列挙された。

選手、監督だけで約3万人、観客を含めると約80万人の来場を見込む全国的な大規模イベントであり、大勢の人の移動に伴う感染拡大リスクが払拭(ふっしょく)されていない。

4月時点で鹿児島国体の都道府県予選会の約6割以上が延期や中止の検討をしている。通常通りの予選会、ブロック大会の開催が困難であること。

都道府県体育・スポーツ協会から都道府県予選やブロック大会が開催されなければ、公正・公平な選手選考が困難であるとの意見が多数寄せられていること。

緊急事態宣言下(5月25日全面解除)で選手の練習環境が著しく制限されていたことから、選手が準備不足で予選会、ブロック大会に臨むことによる外傷、障害のリスクが大きいこと。

専門家(医師)からは、大勢の人が移動すること自体が感染拡大のリスクとなり、(20年5月から)約1年程度は、予選会・ブロック大会もある国体のような大規模スポーツイベントは困難である旨の助言。

鹿児島国体、鹿児島大会の開催により、国内において新型コロナウイルス感染症の拡大を誘引してはならないということ。

主にこれらの事情から今秋には開催しないとした。伊藤会長は、今年度内の開催について「来春となると、予選会はもっと早くからやらないといけない。具体的には難しいのではないか」と口にした。

三反園知事は11日に今年中の開催は不可能であるとの見通しを示していた。

鹿児島県は1年程度の延期を要望している。しかし国体は21年三重、22年栃木が決定、23年宮崎、24年滋賀が内定。この4県は11日に日本スポーツ協会に対して、共同要望書を提出。「代替案を検討するということであれば、まずは後催県に影響のない範囲での対応策を最優先で検討すること」と、鹿児島の1年延期案に難色を示している。

【益田一弘】