国際スケート連盟(ISU)が創設したフィギュアスケートの表彰式「ISUスケーティング・アワード」が日本時間11日深夜、オンラインで行われた。世界の選手、コーチらが対象で全7部門。冬季五輪男子2連覇の羽生結弦(25=ANA)がノミネートされていた「最優秀衣装賞」は、アイスダンスのマディソン・チョック&エバン・べーツ組(米国=フリーダンス)が受賞した。

羽生は黒のスーツにノータイ姿でリモート出席。受賞者の発表前に、すべて英語でスピーチした。

「まずはじめに言わせていただきたいのですが(今回ノミネートされたことを)とても光栄に思っています。そして、すべてのノミネートされた方々にお祝いを申し上げたいと思います。もちろん、すべてのフィギュアスケートを愛する方々にも、たくさんの感謝を伝えたいです」

「今日ここに選ばれた全ての皆さんには、その価値があることをみんなが認めています。それでは、先ほどの質問に答えたいと思います」

「重さ、動きやすさ、快適さはすべて緊張を必要とします。氷の上ではベストのパフォーマンスをしなければいけません。私にとって衣装は、ストーリーとプログラムを表現するために必要な、大切なツールです。さらに衣装は、スケーターとしての羽生結弦を唯一の存在として際立たせるものでもあると思っています」

「衣装は、私がプログラムを演じたい気分にさせ、それを見る人が、これが結弦である、このプログラムと衣装でなければいけない、と思えるものでなければいけません」

対象となったのは19年グランプリ(GP)シリーズのフリー「Origin」で着用した、紫の煌(きら)めく衣装だ。スケートカナダで、現行ルール下のフリー自己ベストとなる212・99点をマークしたプログラムを美しく彩った。羽生が尊敬するエフゲニー・プルシェンコ氏(ロシア)の「ニジンスキーに捧ぐ」をモチーフとしている。

デザイナーは伊藤聡美さん。80個のハンドカットのストーンと、2000個以上のスワロフスキーの小さな石が、ちりばめられている-。そう紹介された。衣装の重さ(620グラム)が、5年前(850グラム)から軽量化されていることも明かされた。

チョック&べーツ組の受賞が決まると、同じくノミネートされていた女子シングルのアンナ・シェルバコワ(ロシア=フリー)とともに拍手を送った。

候補者はインターネット投票(一般、メディア、ISUメンバー)などを基に選考され、先月26日に各部門の最終候補者3人が発表されていた。本来は今年3月の世界選手権モントリオール大会(カナダ)最終日に開かれる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による大会中止に伴い、延期となっていた。

審査員は、ともに世界選手権を制した実績がある安藤美姫さん(日本)やトッド・エルドリッジさん(米国)ら6人が務めた。