20年ユース五輪(オリンピック)金メダリストの鍵山優真(17=星槎国際高横浜2年)が、シニアデビュー戦で驚異的スコアをたたき出し、初優勝した。

フリー188・75点、総合287・21点ともに国際スケート連盟(ISU)非公認ながら、採点ルール改正後の自己ベストで世界5位相当となる高得点をマークした。

前述の通り単純比較はできないものの、最高得点の世界ランキングでは、以下の選手たちに次ぐ点数だ。

<1>ネーサン・チェン(米国)335・30点

<2>羽生結弦(ANA)322・59点

<3>ビンセント・ジョウ(米国)299・01点

<4>宇野昌磨(トヨタ自動車)289・12

公式の記録ではケビン・エイモズ(フランス)が275・63点で世界5位につけている。

非公認とはいえ、世界のトップ級に食い込む記録に本人は笑いながら、こう答えた。

「何というか、うれしいのかな…。うれしいっちゃうれしいですけど、フリーの点数は意識してなくて。昨日(SP)は90点以上を目標にしましたけど、今日は演技だけに集中したかった。自己ベスト更新はうれしいですけど、意識はしてなかったですね」

鍵山は前日3日のショートプログラム(SP)でも躍動。世界的な振付師ローリー・ニコルさんが手掛ける「Vocussion」で、98・46点を記録した。同じ比較方法を取ると世界9位相当だ。SP、フリーともに圧巻の出来で、シニア1年目の初公式戦となる関東選手権を制した。

この日のフリーは佐藤操コーチが振り付けた「ロード・オブ・ザ・リング」を舞い踊った。ジャンプは以下の通り。

<1>4回転サルコー-3回転トーループ(成功)

<2>4回転トーループ(成功)

<3>3回転フリップ(エッジエラー)

<4>4回転サルコー(成功)

<5>トリプルアクセル(3回転半)-1回転オイラー-3回転サルコー(成功)

<6>3回転ルッツ-3回転ループ(成功)

<7>トリプルアクセル(ステップアウト)

この演目を初披露した9月13日のアイスショー「ドリーム・オン・アイス」ではミス連発も、この日は立て直した。「後半の4回転サルコーを前半に持ってきました。今季から導入しているジャンプなので安定させたいし、疲れたり焦ったりする後半だと練習でも失敗することがあった」と修正した。

納得の結果に「初戦にしては、まあまあ動けた方。まあまあやれたかなと思います。ジャンプに関しては最後のステップアウト以外は言うことないですね。一方で、体力を持たせるために演技、動きが小さくなってしまった。ジャンプだけに集中したので、そこは偏ったかなと思います」と冷静に振り返った。

次戦は11月の東日本選手権(山梨)になる。「SPもフリーも演技の部分では課題が出てしまったので、もっともっとブラッシュアップして、演技もジャンプも安定させて、両方ともノーミスでいけたら」。1戦1戦を大切に、自己ベスト更新を続けていく。【木下淳】