東京オリンピック(五輪)の個人総合王者、橋本大輝(20=順大)が拍手をして、応援していた。視線の先では、内村航平(32)が鉄棒の演技に臨んでいた。自身は6種目の最終演技の鉄棒を終え、合計88・040点で暫定首位での予選通過を確実にした直後だった。

「また同じ舞台で戦える。同じ日本代表として臨んでいた。ベストを出してほしい一心で応援しました。ライバルとかでなく、シンプルに日本代表で同じ選手、ここをやり切ってほしいと思って応援してました」。

着地までを通しきる姿に、笑顔で喜んだ。

今大会の1つのトピックは、新旧王者の直接対決にあった。ロンドン、リオデジャネイロと個人総合を2連覇し、40連勝などで「キング」として君臨した内村。その後を引き継ぐように、東京で五輪史上最年少の19歳で王者となった橋本。種目別の鉄棒で、その2人が競い合う舞台だった。

ただ、当の2人の意識は違うのだろう。「直接対決になると思うんですが、内村選手も僕も、決勝で自分の演技を出すことが目標だと思います。そこに負けずに、最終種目、最終日なので、盛り上げていけたら」。そう説いた橋本。試合で相手の選手の演技を応援するのは小さい頃からの常で、それはどんな状況でも変わらない。

内村も「大輝も(決勝に)残るし、最後に一緒に盛り上げられたらいい」と24日の決勝を見据えた。対決より共闘の意識で、ともに最高の演技を届ける。