2連覇を目指す坂本花織(21=シスメックス)が首位発進した。緊張が高まる最終滑走で今季自己最高の76・56点を記録。冒頭のダブルアクセル(2回転半)から3回転ルッツ、演技後半に組み込むフリップ-トーループの連続3回転とジャンプを全て着氷させた。

シーズンベストの得点について「練習から、だいたいノーミスで滑れていたので。最初から最後まで落ち着いて演技できた」と振り返り「6分間(直前練習)では緊張して足がフワフワしてる状態だったんですけど、切り替えて、6分間の中でいつも通りに戻ってきたな、という安心があったので良かった。練習の成果が出たのでホッとしています」。演技後は胸に手を当て、安堵(あんど)の表情を浮かべた胸中をそう説明した。

滑走前の時点では、同じ日本の河辺愛菜(木下アカデミー)が73・88点で首位に立っていた。「やるべきことをやるだけだと思っていました。点数とか順位は人が決めることなので、私は全てを出そう」と集中した。結果は最上位だったが「それでもアテンション(踏み切り違反)付いたり、ステップが(最高評価のレベル4ではなく)レベル3だったり、いつも伸びしろを残して終わるなと思いましたけど」と笑いながら自身の可能性を口にした。

4位だった第1戦スケートアメリカから帰国後は2週間の隔離があり、日本スケート連盟(JSF)が確保した時間枠でしか練習ができなかった。その中で「先生に動画を撮ってもらいながら、1つ1つ細かく確認してクオリティーを上げてきた」とシーズンベストに結びつけた。

河辺はトリプルアクセル(3回転半)に国際スケート連盟(ISU)公認大会で初成功。自身は2回転半だったが「大技がない分、ほかの質を上げないといけないと思っていて。そこをほぼ評価してもらったのでホッとはしてます。SPのノーミスは北京(10月のアジアンオープントロフィー)以来。70点台の真ん中くらいだったのが、またちょっと更新できたので良かった」と喜ぶコメントもあった。

翌13日に行われるフリーへ、さらにはGPファイナル(12月、大阪)へ。「ショートでノーミスできたので、フリーもノーミスで。この大会で目標にしていたことを達成したい」。SPもフリーも大きなミスのない演技を目指す。