22年北京五輪銀メダルの鍵山優真(20=オリエンタルバイオ/中京大)が、SP今季世界最高となる105・51点をマークし首位発進を決めた。3本全てのジャンプを高い加点を得て成功させ、2位の宇野昌磨(25=トヨタ自動車)に5・31点差をつけた。12月のGPファイナル(7~10日、中国・北京)初出場を懸け、今日25日にフリーに臨む。
◇ ◇ ◇
両手を180度広げて天井を見上げた。鍵山の表情には充実感がにじんだ。「練習通りできた」。“いつも通り”が、第4戦中国杯で宇野がマークした105・25点を0・26上回る、今季世界最高得点に導いた。
冒頭の4回転サルコーで出来栄え点(GOE)3・74を獲得。続く4回転-3回転の連続トーループも決め、ステップシークエンスもレベル4でそろえた。左足首の疲労骨折からの完全復活。「今シーズンの評価が厳しめに感じていた。それでも100点を超えたことは、すごくうれしい」とかみしめた。
今シーズンから、メインコーチの父正和氏に加え、14年ソチ五輪銅メダルでイタリア出身のカロリナ・コストナーさんの指導を受ける。新たなコーチから表現方法を学ぶ中で、練習時から常に満員のスタンドをイメージ。見せ方を意識してきた。今回は自国開催もあり「本番は練習以上に楽しくて、曲をしっかりと感じながらステップを踏むことができた」。そんな演技に観客席は大歓声で沸いた。
会場への思い入れもある。20年NHK杯で優勝。一転、昨季の全日本選手権では過去最低順位の8位を味わった場所でもある。酸いも甘いも詰まったリンクに新たな足跡を残し「また思い出が更新されていくのではないかな」とほほ笑んだ。
優勝すれば、自身初のファイナル出場が決まる。2位でも他選手の結果次第で進出。3位とは約19点の差があり、実質、5・31点差で2位につける宇野との一騎打ちとなった。
シリーズ2連勝で進出を決めた21年は、新型コロナの影響で中止となった。今大会で掲げた目標は「ファイナル進出をつかむ」。SPを終え、改めて宣言した。「切符をしっかりとつかんでいけるように頑張りたい」。表彰台の頂点に立ち、自力でファイナルへのチケットをつかみ取る。【竹本穂乃加】
○…宇野は演技後、笑顔で言った。「単純に皆さんの反応が楽しみです」。100・20点で2位スタート。GPシリーズ通算10勝目が懸かる試合で鍵山に首位発進を譲るも、心は満たされていた。「皆さんは、ああ残念、となると思いますが、このSPに満足しています」とうなずいた。
今季は表現力の強化に努める中、昨季との違いを感じた瞬間があった。演技中盤へ差しかかる4回転-3回転の連続トーループ。1本目の着氷から2本目への流れがスムーズではなかったが、3回転を降りきった。ジャンプを「転倒するとプログラムが途切れる」とし、表現の1つとして重要視。だからこそ「去年だったら絶対に2回転にしていた。そこでトリプルを跳ぶようになったのは、点数だけを追い求めなくなった表れ」と胸を張った。「ジャンプも表現も申し分ない練習ができている」。フリーでも、自身が志向する演技を追い求める。
◆ファイナル進出条件 宇野は2位以内もしくは合計249・15点以上で3位に入った場合は自力での進出が決定。3位で同得点を下回ったり、4位となった場合は他の選手の成績次第となる。鍵山は優勝もしくは合計255・99点以上で2位に入れば自力での進出が決まる。2位で同得点を下回ったり、3位となった場合も、他の選手の成績次第で進出できる。


