出産を経てソチ五輪を目指すフィギュアスケート元世界女王の安藤美姫(25=新横浜プリンスク)が、3季ぶりの復帰戦をドイツで戦う。26日開幕のネーベルホルン杯に、ドイツ・スケート連盟の招待で出場することを18日、日本スケート連盟が発表した。

 本人が招待を聞いたのは13日。準備期間の短さから迷いもあった。関東選手権(10月11日開幕、神奈川)へ向けて調整しており、関係者は「いまも戸惑いはある」と話すが、約2週間の前倒しに踏み切った。練習では連続3回転ジャンプも跳ぶなど、出産後初の公式戦へ調子は上向く。

 大会は国際スケート連盟(ISU)が五輪出場の条件として定める最低技術点をクリアする絶好の機会にもなる。これまでは、関東選手権、東日本選手権で結果を残し、強化指定選手に復帰してから国際大会に出る道筋を描いていた。

 日本連盟は強化指定外の選手は国際大会に出場できないという立場を取ってきた。招待という形での出場は異例で、2日の理事会でも参加を認めるかどうか議論があったという。結果的に招待出場を認めたため、安藤がソチ五輪出場のために強化指定選手になる必要はなくなった。

 ネーベルホルン杯で最低技術点を突破すれば、五輪代表の最終選考会となる12月下旬の全日本選手権までに時間的余裕も生まれる。そこで優勝すればソチ行きが決定。2位以下でもチャンスは残る。安藤は18日、公式フェイスブックで「競技への復帰に不安もありますが、これがソチへの第1歩」とコメントした。

 ◆ソチ五輪代表選手選考方法(男女シングル)

 全日本選手権終了時に五輪参加有資格者(※)の中から、以下の順で決定。

 <1>全日本選手権優勝者<2>全日本2位、3位の選手とGPファイナルの日本人表彰台最上位者の中から<3>上記の選考から漏れた選手と、全日本選手権終了時の世界ランク日本人上位3人、ISUシーズン最高スコアの日本人上位3選手の中から。

 ※有資格者=(1)五輪参加年齢に達している(2)全日本選手権終了時までにISUが定める五輪出場のための技術最低点を獲得(3)全日本選手権に参加、のすべてを満たす選手