<水泳世界選手権>◇第14日◇2日◇バルセロナ◇男子200メートル背泳ぎ決勝

 日本背泳ぎ界のエースでロンドン五輪メダリストの入江陵介(23=イトマン東進)がどん底に突き落とされた。決勝は1分55秒07で4位に終わった。金メダルを狙いながらも、100メートルに続きメダルを逃したショックは大きい。レース後は苦悩の胸中を吐露し「表彰台の真ん中に立てない人間なのかと思う。今後のことはゆっくり考えたい」と引退もにおわせた。

 涙があふれる。100メートルに続きメダルを逃した200メートル背泳ぎ。レース後、入江はロンドン後からの苦悩を泣きながら語り始めた。

 入江

 五輪が終わっても(痛めていた左)肩の痛みが取れず、泳ぎははまらない状態。コーチとぶつかることも多く、誰の言うことを信じればいいのか、分からなかった。

 18歳で出場した北京五輪から世界大会の同種目では銀3個。今回こそと、最も輝く色を狙ったが、100メートルに続き、金どころかメダル自体を失った。日本チームのエースになるためには、北島のように金メダルが必要。そんな強い思いは、逆に心の重荷になった。

 入江

 金メダルを取らないといけないと思って、ふたを開けると、取れない。期待に応えられない自分の弱さ。そんな葛藤があってロンドン五輪でもやめたいと思っていた。

 若手の突き上げも焦りになる。4月の日本選手権では100メートル背泳ぎで萩野公介(18)に敗北。そのときも引退を考えるほどショックを受けた。

 入江

 若い人が出てきて、引き際を考えることも多かった。一般の人が自分の結果だけを見れば、落ちていく選手、旬を過ぎた選手になる。若い人が出てくるのはうれしいが…、よくわからないです。

 大会前は3年後のリオデジャネイロ五輪への第1歩にする考えを示していた。だが、混乱状況にある今はそれも白紙になった。

 入江

 今は正直、リオは考えられない。結果も結果だし。

 まだ23歳。老け込む年齢ではない。ただ18歳から第一線を張ってきたエースの悩みは、他人にはうかがいしれないものがある。最終日4日には400メートルメドレーリレーが控える。メンタル面の状態が心配される。