プロ野球巨人の選手が自チームの公式戦の勝敗に絡んで現金のやりとりを行っていたことが判明し、巨人の森田清司総務本部長は14日、東京・大手町の球団事務所で取材に応じ、1試合当たり投手と野手で計最大14万円が動いていたと明らかにした。その上で「験かつぎの色合いもあり、賭け事とは全く異質の行為。(わざと負けるなどの)敗退行為とは全く正反対」と説明したが、野球賭博につながるような金銭絡みの実態があらためて浮き彫りになった。

 巨人によると投手と野手に分かれて行われる試合前の円陣で「声出し」と呼ばれる発声を担当した選手が、試合に勝てばそれぞれ1人から5000円ずつを受け取り、負ければ1人に1000円ずつを支払っていたという。球団によると一部を除き参加していた。1軍登録メンバーは投手が12人、野手が16人程度であることが多くそれぞれ約6万円、約8万円が動いていた。連勝中は声出しの担当者は変わらず、勝ち続ければ受け取る総額は大きくなった。

 チームが低迷していた2012年のシーズン初頭に始まったという。森田本部長は「縁起のいい声出し役にみんなでご祝儀を出そうとなった」と金銭の受け渡しが始まった経緯を説明。一部報道でチームが連勝すると額が増加すると報じられたことには「レートが跳ね上がることはなかった」と否定した。

 昨秋の日本野球機構(NPB)の調査委員会の調査で判明したが、野球協約違反はないとして、森田本部長は「NPBの公表しないとの判断に従った。そもそも賭け行為ではない。額も少額。公表するまでもない、というような判断があったのも確か」と述べた。ただし「誤解を招く恐れがある」として禁止したという。

 高橋由伸監督は昨季まで現役選手だった。森田本部長は「誰が参加し、参加していなかったかはまだ明確に分かっていない」と選手名には言及しなかった。