なりふり構わず打ちにいった。巨人阿部慎之助捕手(37)が同点の9回2死二塁で決勝適時打を放った。外角低め152キロに腕を伸ばしてバットに当てると、ドライブ回転のかかったゴロがゆっくり左前に転がった。チームを6月16日以来の勝率5割に導く値千金の一打を、泥臭く決めた。阿部はバットの先を指さして「ここに当たった。センターをイメージしていった。あの打球を狙って打てれば(打率)8割は打てますよ。当たりはどうあれ勝って良かったです」と喜んだ。

 夏の甲子園の熱気が、阿部の執念に磨きを掛けていた。練習前、グラウンドに向かう三塁側ベンチ横の通路で最高気温31度の熱風を顔に受けた。「暑すぎる。すげえな、高校球児は」と苦笑いしたが、かつては安田学園高(東東京)の野球部員として真夏の猛練習に耐えた。「昔はオレも高校球児だったんだな。頑張ろう」。甲子園出場はかなわなかったが、当時のがむしゃらな自分を思い起こした。

 だからこそ食らいつけた。決勝打の直前には鈴木の走塁ミスもあり、無死一、二塁の好機が2死二塁にしぼみかけていた。「点が入りそうで入らない、ふん詰まりの展開だったから、何とかね」。高校球児のように必死に打ち返し、味方のミスもカバーした。高橋監督は「さすが。チームを救ってくれた」と感謝した。

 首位広島も勝利したため10ゲーム差は変わらない。それでも高橋監督が「(貯金を)1つずつ増やしていくしかない」と言えば、阿部も「食らいついていく」と猛追を誓った。【浜本卓也】