<アジアシリーズ:天津2-16西武>◇15日◇予選リーグ◇東京ドーム

 おかわり弾で王手だ。西武が中村剛也内野手(25)の勝ち越し3ランなどで天津(中国)を16-2の7回コールドで下し、1位で決勝に進出した。中村の特大アーチが打線に火をつけ、大会新の16得点をマークした。2試合目は統一(台湾)がSK(韓国)に10-4で勝ち、天津以外の3チームが2勝1敗で並んだが、失点率(失点数を守備イニング数で割る)の低い順で統一が2位となり、16日の決勝に駒を進めた。西武はエース涌井を先発に起用し、日本勢4連覇を目指す。

 東京ドームでは空を切ってばかりだった中村のバットに、鈍い破壊音が響いた。2-2の同点に追いつかれた直後の2回、2死一、二塁。高く、遠くに飛んだ打球は、左翼2階席付近に直撃。推定140メートル弾。あまりの飛距離に、天津ベンチもあぜんとした。流れを呼び戻す特大3ランに「4番の仕事ができて良かった。久しぶりに完ぺきでした」とホクホク顔で振り返った。

 前の打席まで、アジアシリーズ9打席6三振。待望の初安打が、本塁打になった。周囲の期待と重圧に苦しんだ日本シリーズに比べれば、気持ちは楽だった。「当たってくれさえすれば、ホームランになると思ってました」。当たれば飛ぶと信じきったフルスイングは怖い。日本シリーズから放った4安打はすべて1発で10打点。もろさはあっても、豪快に、局面を一振りで変える中村ならではの力を見せつけた。

 “予習”の成果も出た。渡辺監督が執筆した「寛容力~怒らないから選手は伸びる~」(講談社)が10日に発売された。選手育成法や操縦法が実名で書かれており、ナインの間でも評判だった。「もちろん、読みましたよ」と中村。「野村の考え」ならぬ「ナベQの考え」を頭にインプット。著書には「客を呼べる選手」として中村の名が記されているだけに、燃えないわけがない。1発の魅力で、ファンを喜ばせた。

 1位で決勝進出を決めた渡辺監督はきっぱりと言った。「明日はエースが満を持して登板します。しっかりゲームをつくってくれると思う。日本勢が連覇しているので頑張ります。(99~01年にプレーした)台湾との決勝になり、因縁を感じる」。調子を上げている涌井を先発に立て、4番中村にも1発が飛び出して臨む大一番は、初戦で惜敗した時のチーム状態とは雲泥の差。日本勢V4へ、準備は整った。【柴田猛夫】