<楽天4-3オリックス>◇9日◇Kスタ宮城

 楽天は逆転勝ちで2位を確定させ、3位ソフトバンクとのクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(3試合制)の地元仙台での開催権を獲得した。先発のルーキー藤原紘通投手(24)が、8回3失点の粘投で今季5勝目。打線は3点差をはね返す逆転劇を演じた。16日からKスタ宮城でCS対決。地元のアドバンテージを生かし、岩隈、田中、永井の3本柱で突破を狙う。

 寒空の下、杜(もり)の都がヒートアップした。あと1勝と迫っていた地元仙台でのCS開催を決め、野村克也監督(74)は帽子を取りスタンドに向かって手を振った。気温15度と冷え込む中、歓喜の瞬間を見ようと集まった1万9419人がわいた。「仙台は熱いぞ!

 こんなにお客さん、いっぱいじゃあ!」と胸を張った。風雪5年。弱小球団から脱皮したチームは、ファンを熱狂させる集団になった。

 苦悩の日々に比べれば、3点差など問題にならなかった。3点を追う2回2死満塁から、高須の2点適時中前打で反撃開始。続く3回2死一、二塁からはリンデンが左翼フェンス直撃の2点適時二塁打で、簡単に逆転した。これでシーズン77勝中、半数近い36勝が逆転勝ち。ソフトバンクと並びリーグトップの数字だ。野村監督は「何かあるよ。チーム力の評価は難しいが、結果としていい形に出ている」と照れ笑いした。お得意の逆転劇に、ベンチとスタンドのボルテージは一気に最高潮まで達した。

 「人情」に支えられてきた。05年12月、野村監督は監督就任会見のために仙台を訪れ、故郷の京都・網野町(現在京丹後市)にも似た厳しい寒さに、懐かしさを感じた。「町並みや人たちがなんとなく京都に似ているんだよ」。過去4年の成績は217勝333敗10分け。勝利の美酒より苦杯を116回も多く味わってきた。やっと勝ったと思えば、次の日に大敗などは日常茶飯事。それでも仙台のファンは途中で帰ることもなく、試合終了まで声援を送り続けてきた。「網野町と同じで寒いからな。寒いところで暮らすと、忍耐強い人間が育つんだよ」。3年連続最下位に沈んだ阪神監督時代、厳しい言葉を浴びせられ続けただけに、温かい心が余計に身に染みた。

 地元CS開催で、大きな利点がある。福岡ヤフードームを本拠地とするソフトバンクには仙台特有の寒さのプレッシャーを与え、熱い声援のバックアップを得ることにも成功した。初戦の先発が濃厚な岩隈も「もう寒いのは慣れてますから」と地の利を感じている。11日の本拠地最終戦は、ソフトバンクとのCS前哨戦となるが、野村監督は「最終戦はファン感謝デーだ。ファンには4年間、温かい声援を送ってもらった」。さらにハッキリと「できれば日本シリーズの最後までいきたい。そういうところで恩返しできれば」と誓った。開幕前の悲願は、すでに達成した。これからはファンとともに見続ける日本一の夢まで、全力で駆け抜ける。【小松正明】

 [2009年10月10日9時17分

 紙面から]ソーシャルブックマーク