ヤクルト初CS「苦労した分喜び大きい」
<ヤクルト3-1阪神>◇9日◇神宮
ヤクルトが阪神とのクライマックスシリーズ(CS)進出をかけた大一番に競り勝って、3位確定で球団初のCS進出を決めた。1回に青木宣親外野手(27)が先制適時打、7回にはベテラン宮本慎也内野手(38)が貴重な追加点をたたき出す右前適時打を放った。先発の石川雅規投手(29)が8回途中1失点と好投した。ヤクルトは17日から中日と敵地ナゴヤドームでCS第1ステージを戦う。
やっと、やっとつかんだCS初切符だ。ウイニングボールが青木のグラブに収まると、安堵(あんど)の笑みがツバメ軍団の表情を包んだ。高田繁監督(64)も数秒目をつぶって万感の思いに浸った後、「オールスターぐらいのときは、みんな間違いなくCSへ行くと思っていたしね。苦労した分、喜びも大きいよ」と、勝利の味をかみしめた。
今季最多3万3218人が詰めかけた。当日券も完売し、試合開始から30分で満員札止め。ともに負けられない戦いは異様な雰囲気に包まれた。1回、青木の先制打がチームへ勢いを呼び込んだ。6回にも青木が四球で出塁し、中押しのホームを踏んだ。1点差に迫られた7回には、右手親指裂離骨折をおして出場するチームリーダー宮本が執念の右前適時打。直接対決で粘る阪神に連勝して引導を渡し、06年以来のAクラス入りを決め、青木は「最高に気分がいい」と笑った。
低迷しはじめた8月上旬に、チームがまとまるきっかけになる“事件”が起きた。守備で青木の緩慢なプレーに、飯田外野守備走塁コーチが注意。反論してベンチ裏で暴れる青木へ、宮本が「こっちは試合してんだ!」と怒鳴り声を上げると、冷静さを失った青木も言い返し、2人の間にコーチ陣が割って入ったほど一触即発の状態になった。すべては何とかチームを良くしたいという思いからの衝突だった。青木はその一件を謝罪し、以降は周囲が感心するほどの態度でリーダーシップを発揮。終盤は4番としてもけん引、CS出場に貢献した。
8月4日の貯金最大14以降、相川はじめ故障者が続出。4位とは最大で13差もつけていたが、まさかの大失速で急降下した。シーズン勝率5割も切ったが、宮本は「やじられたこともあったけど、いろいろ緊張感のある試合を乗り越えてこそチームは強くなる」。苦難を乗り越えた経験は、大きな財産となった。
セ・リーグでCSが始まった07年から、巨人、中日、阪神の3強の牙城を初めて崩した。ドロ沼の連敗時に高田監督は「疲れた」と連発するなど、一時はCSを逃したら引責辞任も周囲へ示唆していた。それでも当初の目標を達成し、「1つも負けられない試合が続いていたから、CSのことを考える余裕もなかった。ナゴヤドーム、東京ドームと勝ち進んで、もう1回神宮で試合ができるようにしたいね」。どん底を味わった高田ヤクルトが、次は01年以来の日本一へと続く戦いに挑む。【松本俊】
[2009年10月10日9時10分 紙面から]
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