<阪神3-14オリックス>◇5日◇甲子園

 古巣をコテンパンにやっつけ、オリックス岡田彰布監督(53)に会心のドヤ顔が出た。そして異例とも言える金子千の予告先発が飛び出した。「交流戦は日曜があと2回、きっちり中6日で投げさせるよ。上のチームに均等にな」。これまで交流戦の先発は隠し続けてきたが、帰ってきたエースだけは別格だ。次回登板は12日巨人戦と19日中日戦。阪神監督時代から何度も苦杯をナメた“2強”でも、金子千なら抑えられるとの自信の表れだった。

 それほど申し分のない復活登板だった。2月に右肘手術を受けての1軍初先発。初回こそ2点を失ったが、最速148キロの真っすぐと最遅103キロのスローカーブの緩急差45キロを自在に操った。かつての愛弟子たちを翻弄(ほんろう)した6回5安打3失点。借金を4まで減らし、今季初の5連勝&4位浮上を導いた。

 ファームからは好調の報告を聞いていた。2軍戦から中14日空けてまで、昨年の最多勝右腕を古巣にぶつけたのも、甲子園で笑うための秘策に思えて仕方ない。「本当は開幕投手に指名せなあかんかった。でも近藤も含めベストメンバーが整った感じやな」。リーグ戦再開時に先発復帰が見込まれる近藤も2番手で2回0封。木佐貫、朴賛浩が2軍落ちの台所事情の中、金子と近藤の古巣斬りは6月反攻への大きな手応えだ。

 打線もT-岡田の先制3ランなどで今季最多の17安打&14得点。不振の李承■まで移籍後初のマルチ安打を放つなど、先発野手全員が安打を奏でた。「やっとようやく、打つ方が元気になってきたな」。前回対戦で借金を最多の10にされた古巣に、痛快過ぎる“借金10返し”。三塁側のドヤ顔は今夜の白星いただくつもりのようだ。【松井清員】※■は火へんに華