巨人の新守護神に、開幕投手を務めた東野峻投手(24)が抜てきされることが9日、分かった。今季は守護神が固定できず、2日の中日戦から日替わり守護神制を導入したが、原監督は守護神固定を模索してきた。東野は09年から先発を務めてきたが、2軍では3年目にセットアッパーを経験。4年目は中継ぎで1軍帯同し、150キロを超える直球とキレ味鋭いスライダーで54回を投げ、53三振を奪った。高い奪三振率と強いハートは守護神には不可欠。監督が「ファイト投法」と名付けた男が、逆転Vへの救世主になる。

 守護神不在で低迷するチームの救世主に指名されたのは、開幕投手を務めた東野だった。09年から先発ローテーション入りし、昨季は13勝。今季は先発ローテーションの軸としての期待が大きかった右腕を、電撃抜てきする方針を固めた。東野は8日の広島戦に先発し、5回3失点で降板。通常なら今日10日は休養日だが、ベンチ入りすることになりそうだ。93球を投げ、中1日だが、体の状態や試合の展開次第では新守護神デビューの可能性もある。

 チーム浮上の秘策は、守護神の大抜てきだった。クルーンが昨季限りで退団。開幕は昨年までセットアッパーを務めてきた山口で迎えた。4月末に左胸痛と精神的疲労から離脱。以降はロメロ、アルバラデホの変更を繰り返した。現状では山口、久保をダブルストッパーで起用。2日の中日戦後に、原監督は「こういう球団が1球団くらいあっても、いいんじゃないでしょうか。誰が来るんだろうってね」と日替わり守護神制をにおわせた。

 言葉には出さないが、守護神固定こそが、巻き返しに直結すると感じていたのは、原監督だった。02年には先発ローテ投手の河原(現中日)を起用し、28セーブを挙げリーグ制覇。07年にはエース上原(現オリオールズ)を抜てきし、32セーブでリーグ制覇を成し遂げた。原采配における守護神の存在はV奪回に不可欠な要素。投手コーチら首脳陣と話し合いを重ねた中で、浮上したのが東野だった。

 東野は、守護神の適性は兼ね備えている。2軍では3年目にセットアッパーを経験。将来の守護神として嘱望された時期もあった。4年目は1軍で26試合に救援登板(2先発)。54回で53奪三振と高い奪三振率を誇った。先発では直球は140キロ台中盤だが、短いイニングならば150キロを超える。ウイニングショットのスライダーは空振りがとれ、原監督が「ファイト投法」と名付けたように、強いハートも持つ。また、先発として2勝7敗と苦しむ東野をよみがえらせるという狙いもある。

 現在、首位ヤクルトとは9・5ゲーム差。巨人史上、借金7以上からの優勝はないが、新守護神の誕生は歴史を変える序章になる。