俳優綾野剛(33)が10月スタートのTBS系「コウノドリ」(金曜午後10時)で、連続ドラマ単独初主演を果たすことが9日、分かった。演じるのは心優しい産婦人科医で、情熱的で謎多き天才ピアニストでもある主人公。医者役も初挑戦となる。

 綾野が演じるのは、生後すぐに母を亡くし、乳児院と児童養護施設で育ち、医師や患者から信頼の厚い産婦人科医のチームリーダー鴻鳥(こうのとり)サクラ。綾野はこのほど、取材に「お母さん方、赤ちゃん、婦人科医が、どう生死に向き合ってきたか伝えられると思う」と意気込んだ。

 サクラは天才ピアニストの一面も持つ。綾野はピアノ未経験だったが昨秋、自腹でピアノを購入したという。ピアニストの清塚信也氏(32)の指導も受け、自宅で毎日練習中。「本当は、ピアニストか医者か絞ってほしかった」と笑顔で本音も漏らしながらも、「やるしかない」と力を込めた。

 14年のフジテレビ系ドラマ「すべてがFになる」では武井咲(21)とのダブル主演だった。初の連ドラ単独主演について聞くと「周りの方々に支えてもらいながら、立たせてもらおうと思う」と謙遜したが、責任感は強い。「主役がぶれると、ドラマがぶれていく。普段の立場とは違う」。

 視聴率にもこだわっていく。「数字はドラマの認知であると思う。数字がよくてマイナスなことは1つもない」と決意をにじませた。そして「数字をあてにドラマを見る人もいると思う。いいきっかけになる数字を出せたら、現実に苦しまれた方、喜びを体感できた方の気持ちをおすそわけできる」と続けた。

 綾野の起用理由について峠田浩プロデューサーは「芝居の感性の引き出しをたくさん持った俳優」と説明。同作は漫画誌「モーニング」に連載中の同名のヒューマン医療もの漫画が原作で、綾野は、髪形も原作に近づけた。原作者の鈴ノ木ユウ氏も綾野を「主人公の表情や空気感が出ていた」と絶賛。ヒロインは松岡茉優(20)で新米産婦人科医の役。吉田羊、星野源、大森南朋、坂口健太郎、浅野和之、山口紗弥加らが共演する。【上田悠太】

 ◆「コウノドリ」 産婦人科を舞台に、命を預かる医師や患者、スタッフの奮闘ぶりを描く。出産リスクやアクシデントなど産科医療の現場で直面している社会問題も盛り込んでいる作品。原作漫画は累計部数100万部。監督は映画「ビリギャル」などを手掛けた土井裕泰氏(51)。