落語家の立川志らく(53)が、お笑い批判で物議をかもした脳科学者の茂木健一郎氏(54)をテレビタレントたちが“袋だたき”にしたことに異論を唱えた。

 茂木氏はツイッターで「日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終止し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン」と発言したことから、芸人たちの間で賛否を呼んだ。

 爆笑問題の太田光と田中裕二は、茂木氏の意見にラジオ番組で猛反論、海外コメディアンらの社会風刺より日本のお笑いの方がレベルが高いことを主張し「『オワコン』とか言ってんじゃねえ」とぶちまけた。

 また、ダウンタウンの松本人志は19日放送のフジテレビ系「ワイドナショー」で、「茂木さんが全然面白くない。笑いのセンスが全然ないから、この人に言われても『刺さらなねぇぜー』って感じ」と切っていた。

 ただ、茂木氏の発言は日本のテレビ業界のあしき慣習に一石を投じようとする問題提起であり、ウーマンラッシュアワーの村本大輔はツイッターで「正しい間違いは別として、それに付随するいろんなものを考えるいいきっかけになる、とても勇気のいるナイス発言だと思う」と発言。志らくもまた「現在のテレビでもてはやされている使い捨てにされている若手のお笑い芸人に対して。それに関してなら私も同調する部分はある」と言及。「落語や喜劇は笑いが目的ではなく手段なのです。お笑い芸人は笑いが目的になってしまっている」と私見を述べていた。

 こうした騒動の中、茂木氏は22日放送のフジテレビ系「バイキング」にVTR出演。一連の発言について真意を説明し「どういうふうに芸人さんが受け止めてくれるか楽しみだった。結果としておきて破りだったかもしれませんけど、それくらいお笑い界を応援したい」との思いを語った。権力者に批評の目を向けない日本のお笑いを批判したが、「特定の芸人さんとかを批判してるわけじゃない」と茂木氏。「現場でいろんな制約がある中で頑張ってらっしゃる方々に対しては応援する気持ちしかないです」とした。

 しかしスタジオでは、出演者たちが不満顔。坂上忍は“オワコン”発言を逆手に取り「この人の方がオワタレになる」と痛烈にやり返し、梅沢富美男は「こいつ、本当に脳科学者なの?」と皮肉たっぷり。おぎやはぎの矢作兼は「テレビで通用しなかったから悪口言うんでしょうね」とチクリと刺した。

 しかしこうした“サンドバッグ状態”に、志らくは23日にツイッターで「茂木健一郎氏が今のお笑いオワコン発言で謝罪。それをタレントが袋だたき。別に謝罪することは無い。私もカチンとはきたがそれは茂木氏の考えであって別に問題はない」と茂木氏を擁護。「(ダウンタウン)松本さんみたいに皮肉のギャグで返すのが本筋。袋だたきにするのはおかしい。何も発言出来なくなる。その考えは違うと主張するのは良い」と、タレントコメンテーターたちが一斉にバッシングする風潮にくぎを刺した。