日本代表のハビエル・アギーレ監督が、スペイン1部リーグ時代に率いたサラゴサ(現2部)が八百長疑惑に揺れている。

 2011年5月21日の最終節でレバンテを下し、1部残留を決めた試合に不正の疑いがある。地元では「ボーナス」としてサラゴサのアギーレ監督、選手の口座にいったん振り込まれ、レバンテ側に渡ったとされる合計96万5000ユーロ(約1億4475万円)の行方が真相究明の焦点とみられている。

 1932年創設のサラゴサはスペイン北東部に位置する地方クラブ。イグレシアス元会長の放漫経営や強引な手法を疑問視する声は以前からあったという。

 1部と2部ではテレビ放送権などの収入が桁違いで、残留か降格かは中小クラブの経営には死活問題だ。

 17日、当時を知るサラゴサのディオゴが取材に応じようとすると、クラブ広報から「何も話すな」と口止めされた。

 「かん口令」はリーグ全体に及び、レバンテに所属したエスパニョールのストゥアニも18日、「裁判の前なので話せない」と質問を遮った。

 サイン会でサラゴサのクラブハウスを訪れた66歳の男性サポーターは「あの試合を見た印象では八百長とは思えない。だが、口座から引き出したお金がどこに消えたのか。地元で最大の関心事はその謎だ」といまだに半信半疑のようだ。

 他クラブの幹部からの通報で警察に調査を依頼したスペイン・プロリーグ協会のテバス会長は「最重要課題は八百長対策。あの試合が仕組まれたものと確信している」と地元ラジオ局に語った。