現在ロシアで熱戦が展開されているモスクワ世界陸上の終盤戦と、女子に注目選手が多数出場する北海道マラソンが行われる。

 世界陸上の最大の焦点はウサイン・ボルト(26=ジャマイカ)の3冠がなるかどうか。大会2日目の100メートルは雨の影響もあって9秒77だった。「今日は“雨に唄えば”ではなくて“雨に走れば”だったよ」

 それでも9秒77はシーズンベストで、2位のジャスティン・ガトリン(31=米国)に0・08秒差をつけた。調子は悪くない。

 大会7日目の16日に200メートル予選と準決勝、17日に決勝、最終日の18日に400メートルリレーを走る。200メートルの3連覇は確実で、自己の持つ世界記録19秒19の更新も可能性がゼロではない。

 100メートルではジャマイカが1、3、4、5位を占めた。400メートルリレーでも楽勝が予想されているが、何が起きるかわからないのがバトンパス。アンカーに登場しそうなボルトの走りと、ジャマイカのバトンパスから目を離さないようにしたい。

 16日の女子200メートル決勝も注目したい。

 100メートルはシェリーアン・フレイザープライス(26=ジャマイカ)が10秒71で、2位に0・22秒差の圧勝だった。ロンドン五輪では100メートルで金メダル、200メートルは銀メダルだったが、今季は200メートルにも積極的に出場してきた。22年ぶりに女子短距離個人種目2冠が見られるかもしれない。

 だがライバルも多い。ロンドン五輪金メダルのアリソン・フェリックス(27=米国)と全米選手権でフェリックスに勝ったキンバリー・ダンカン(21=米国)。今大会の走り幅跳び銀メダルのブレッシング・オカグバレ(24=ナイジェリア)も、6月末のダイヤモンドリーグ・バーミンガム大会200メートルでフレイザープライスに勝っている。

 男子とは対照的に、誰が勝つのか予想できない面白さがある。

 日本勢は女子マラソンの福士加代子(31=ワコール)の銅メダルを皮切りに、3日目までに6人の入賞者を出した。これまでの世界陸上では8人が最多入賞で、それを上回りそうな勢いだ。17日に行われる男子マラソンと男子やり投げ、最終日の女子やり投げなどが入賞候補。

 最終日の男子400メートルリレーは山縣亮太(21=慶大)が故障で欠場する。エースの離脱は大きいが、控え選手もしっかりと準備をしている。伝統の力で入賞したい。

 北海道マラソンは女子に有力選手が揃った。

 ロンドン五輪代表だった重友梨佐(25=天満屋)、2年前のテグ世界陸上5位の赤羽有紀子(33=ホクレン)、1月の大阪国際女子マラソンで福士に次いで日本人2位だった渡邊裕子(25=エディオン)ら。

 リオ五輪に向けての選考材料に、夏の大会での強さも入ってきた。モスクワ世界陸上代表を逃した選手たちが再スタートを切る。【8月後半の主な陸上競技大会】10日~18日:モスクワ世界陸上25日:北海道マラソン