冨田尚弥選手と、同選手を日本選手団から追放した日本オリンピック委員会(JOC)の主張は真っ向から対立した。

 事務局で幹部数人とともに記者会見の中継を見守ったJOCの平真事務局長は「驚いている」と話した。見知らぬ人物からバッグにカメラを入れられたとする冨田選手の主張に対し、監視カメラの映像を見た職員から「(カメラを)袋に入れているのを確認できた」と報告を受けていると反論。警察の聴取に付き添った通訳の日本語も堪能だったとの見解を示した。

 冨田選手が現地で無実を訴えていたことは、JOCも日本水泳連盟も認めた。ただ、日本水連の泉正文専務理事は同選手から「やっていない」と聞いたのが、罰金を支払い、帰国直前になってからだったと釈明。鈴木大地会長は「取り調べで認めていて証拠もあり、どうにも対応できなかった」と語った。

 泉専務理事は「われわれもJOCも大使館員の方も一生懸命フォローした。こういう事態になってしまったことは残念」と困惑した様子だった。

 両団体とも、韓国の司法判断が覆らない限りは処分の見直しはしない方針を示した。