国際オリンピック委員会(IOC)は25日、20年夏季五輪開催を目指す東京、イスタンブール、マドリードの3都市を、IOC評価委員会が現地調査して作成した評価報告書を公表した。東京は大きな減点が指摘されず、選手村から半径8キロ圏内に会場の85%を配したコンパクトな計画や輸送、財政などで良好な評価を受けた。

 報告書は110ページにわたり、1都市の評価に30ページが割かれた。各都市は交通や財政など14項目にわたって詳細に評価されている。東京は、輸送面で「新たな交通網は必要ない」と満点を与えられ、地震や津波についての記述こそ多かったが「電力はすでに改善されており、20年には十分になる」と懸念は示されなかった。マイナス点は柔道、卓球、ボクシングが開催される武道館、国技館、東京体育館の3会場の周辺スペースの狭さが指摘されたくらいで、致命傷となる失点は見当たらなかった。

 ライバル2都市に目を向けると、会場が分散するイスタンブールには、選手の移動時間が「35分を超えない」という招致委員会の主張を「楽観的」と指摘し「移動には長い時間がかかる」と不安視した。マドリードはスポンサー収入の項目などでスペインの経済危機に触れて懸念を示した。報告書の内容に限れば、東京が1歩リードした印象だ。

 この報告書は、開催都市が決定する9月7日のブエノスアイレスでの総会で、投票権を持つ約100人のIOC委員の参考資料となる。必ず勝敗を左右するものではないが、前回はリオデジャネイロが報告書の高評価を追い風に勝ち抜いている。そんな経緯もふまえ「安心、安全、確実な五輪」が評価された東京は、残り2カ月余りの招致レースでラストスパートに入る。

 ◆開催地決定方法

 国際オリンピック委員会(IOC)委員約100人の無記名による投票で決まる。立候補都市のある国の委員は投票に参加できない。最多得票の都市が過半数を獲得できるまで、最も得票数の少ない都市を落としながら、繰り返して行われる。