日刊スポーツの評論家陣が、阪神のライバルのセ・リーグ5球団を敵情視察する「潜入」企画。第4回は元投手コーチの中西清起氏(56)が18日、開幕で当たるヤクルトの浦添キャンプを訪問。

課題の投手補強に力を入れて先発期待のアルバート・スアレス(29=ダイヤモンドバックス3A)やセットアッパー期待のスコット・マクガフ(29=ロッキーズ3A)らを獲得したツバメ軍団に警戒感を強めた。【取材・構成=松井清員】

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中西氏が目を見張ったのは新外国人右腕コンビだった。先発期待のスアレスとセットアッパー期待のマクガフがフリー打撃に初登板。相手は塩見や西浦、山崎、奥村らの若手だったが、力強い真っすぐで圧倒する場面が目立った。

中西氏 ともにタイガースが苦手とする速球派だ。スアレスは147~148キロ出ていたけど、試合ではもっとアドレナリンが出て150キロは出るはず。より脅威なのはマクガフで、この日も最速が152キロ。こちらも試合では155キロは出るだろう。制球も安定していて、クローザーを張れる可能性もある素材だ。

昨年、首位広島に7ゲーム差の2位だったヤクルトのチーム打率は、リーグトップの2割6分6厘。一方投手陣の防御率4・13は同4位で、課題は明らかだった。そこでこのオフ、この両助っ人を獲得。日本ハムとのトレードでは、セットアッパーの秋吉を出して先発タイプの高梨を取った。また、ソフトバンク戦力外の寺原と五十嵐の実績組も先発と中継ぎで加入。野手の補強は日本ハムから移籍の太田1人で、力の入れ具合が顕著だ。ドラフトも1位の清水ら8人中5人が投手だった。

中西氏 昨年やりくりに苦しんだ先発と救援陣が相当厚みを増した。攻撃陣は山田哲やバレンティン、雄平らの状態が良さそうで相変わらず強力。広岡や村上ら若手の大砲候補も伸びている。阪神はただでさえ昨年ヤクルトに10勝15敗と負け越し、しかも10連敗で終わっただけに、開幕3連戦で当たるにはイヤな相手だ。開幕投手を務めるであろうメッセンジャーが強力打線を7回3、4点に抑え、打線が開幕に来るであろう小川から少ない好機を生かさないと勝機は遠のく。しかも開幕戦で流れを渡すと2、3戦目はより厳しくなる。ヤクルト戦後も巨人、広島と昨年の上位3強が続くだけに、浮沈を左右しかねない大事な3連戦だ。

ヤクルト新外国人右腕のスアレス(左)とマクガフ
ヤクルト新外国人右腕のスアレス(左)とマクガフ