阪神の新外国人ジェリー・サンズ外野手(32=韓国・キウム)は、2日連続のランチ特打で57スイングし、3本の柵越えを放った。

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初めて見たサンズは、コンパクトに振り抜くバッティングが印象的でした。昨シーズンは韓国球界で28本塁打を記録したので、長打力が売りかと思いましたが、どちらかというと中距離タイプですね。

キャンプインしたばかりということもあるでしょうが、ミートしながら広角に打ち分けているようでした。フォーム的にはテークバックが小さく、懐(ふところ)が狭い感じがしました。

あえて歴代助っ人をだぶらせると、マートンを大柄にしたようなイメージでしょうか。10年から6シーズン、プレーしたマートンも同じようにテークバックが小さかったので、当初は「大丈夫?」とささやかれたものです。

でもマートンの場合は、体が前に突っ込まなかったし、テークバックを取って、来た球を引きつけて打てる能力がありました。だから首位打者1回、最多安打3回のタイトルが示すようにヒットを量産できました。

ここまで見た感じで表現すると、パワーヒッターで「剛」のボーアに対し、サンズは「柔」のイメージです。ここからそれぞれがいかに仕上がってくるかですが、マルテを加えた野手の起用法はポイントになりそうです。

この日、マルテが三塁守備についたのも、大山の尻をたたく意味合いもあったはずです。でも、昨季105試合出場で異国でのプレーに慣れた手応えが結果に表れれば、一気に定位置をつかむ可能性もあります。

サンズが使えるとなれば外野の勢力図も変わってきます。外国人に関しては、起用法の選択肢が広がったことで、投打とも現場の見極めがチームの明暗を分けることになるでしょう。(日刊スポーツ評論家)

打撃練習を終えたボーア(右から2人目)とサンズ(左)を見つめた桧山進次郎氏(中央)(撮影・上田博志)
打撃練習を終えたボーア(右から2人目)とサンズ(左)を見つめた桧山進次郎氏(中央)(撮影・上田博志)