「日本生命セ・パ交流戦」が開幕し、セ・リーグ2位の巨人が、パ・リーグ2位の楽天に逆転勝ちした。過去15回の交流戦はパが圧倒的な好成績を残している。セのチームがパのチームに対抗するにはどうしたらいいのか。本紙評論家の宮本慎也氏は、この日の巨人の戦いに可能性を見いだした。
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セ・リーグのチームにとって、すっかり“鬼門”になってしまった交流戦。今季こそ意地を見せてほしいと願っていたが、セを連覇している巨人が「セ・リーグらしい野球」でパ・リーグ2位の楽天に先勝した。
1点をリードした7回だった。1死一、三塁から2ストライクに追い込まれた丸が、盗塁により1死二、三塁となった後に四球を選んだ。続く若林は一ゴロで無得点だったが、8番の大城、代打の亀井が連続押し出し四球で追加点を重ね、松原がダメ押しの適時打。制球力が定まらないブセニッツから4点を奪って試合を決めた。
楽天からすれば負け試合で、ブセニッツは防御率5点台。「そんな投手から四球を選んでも当たり前」と思う人もいるだろう。しかし、相手が嫌がる攻めをするのは、勝負事の基本。1年ぐらいで急激にパワーが付いたり、技術力が格段に上がることは考えにくいだけに、現状でパのパワー野球に対抗するには、基本に立ち返る必要があると思っていた。
クイックの下手な岸から吉川が2盗塁を決め、7回にも代走に出た湯浅がブセニッツから盗塁。走れる時はしっかりと走る。そして相手には走らせない。2回と4回にはしっかりと盗塁を阻止。戸郷もクイックをしていたし、大城の送球もよかった。当たり前のことを当たり前にやることが、セの“緻密な野球”につながるし、パの“パワー野球”に対抗する唯一の手段だろう。
そういう意味では、まだまだ不十分な部分がある。4回無死一、二塁から投手の戸郷が送りバントを失敗。DH制のない試合では、どれだけセのアドバンテージを生かせるのかが大事。セのアドバンテージとは投手の打席であり、特に送りバントはしっかりと決めたい。そしてパの投手が打席に立つときは、とにかく打たせないような投球が必要。送りバントを狙ってくるような場面で、簡単に成功させるような投球は絶対にしてはいけない。
個人的にはセも、もっとパワー野球を目指すべきだと思う。しかしそれは、緻密な野球を捨てるということではない。特に今の力量差でセのチームがパのチームに勝つためには、当たり前のことをしっかりやれるような緻密さが必要。集中力を切らさず、今後も戦い続けてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)




