1日楽天戦で起こった乱闘騒ぎで、今季ベンチスタートが多い2人の選手がおとこ気を見せた。福田と高谷だ。一塁を守っていた福田は、アマダーが東浜に向かって走ってくると、真っ先に進路をふさぎ、ベンチから飛び出した高谷は後ろからアマダーを羽交い締めにして東浜の身を守った。

 相手はプロ野球史上最重量135キロの巨漢助っ人。投げ飛ばされればケガを負うリスクも十分あった。しかも福田は、過去にケガで何度も長期のリハビリを経験しており、戦列を離れるつらさを十分に分かっている選手。高谷も6月に骨折した右手中指がまだ完全に治っている訳ではない。だが、もう1度負傷すれば今季絶望となる中で、果敢にアマダーに立ち向かった。

 2人が共に言ったのは「投手にケガをさせる訳にはいかない」。開幕から先発ローテで投げ続けてきた勝ち頭を簡単に見殺しにすることはできなかったのだ。

 福田は「内野を守っている時の乱闘は初めてでドキドキしたけど、とっさの判断。何事もなくてよかった」と胸をなで下ろし、高谷も「とにかく止めないとと思って必死にダッシュした。ケガなんて気にしてられなかった」と振り返った。

 結果的に丸く収まった久々の乱闘騒ぎ。2人がとっさに取った行動は、記録には残らないが、見ていたファンの心にはきっと鮮明に刻まれたはずだ。【ソフトバンク担当 福岡吉央】