プロ野球の世界は、秋がお別れの季節になる。DeNAで今季、チーム付広報兼打撃投手を務めていた藤井秀悟さん(44)は退団。関西独立リーグの06BULLSのGM補佐兼投手コーチに就任した。「40歳を過ぎて、いつまで打撃投手ができるか分からなかった。新しい挑戦がしたかった」と新天地に進んだ理由を語った。

経歴を感じさせぬ、気さくな人柄を感じていた。今治西(愛媛)では夏の甲子園で4強入り、早大では東京6大学リーグで24勝。逆指名で入団したヤクルトでは最多勝を獲得し、日本ハム、巨人、DeNAでも活躍した。

今季、坂本裕哉投手が阪神戦に3勝した時には、4勝したらDeNAでは誰以来かという話題になり、13年の藤井さん以来と判明。「あの年は調子がよくなかったし、別に阪神が得意でもなかった。調子がよくない分、丁寧に投げたのがよかったのかもしれないですね」と答えてくれた。いつも報道陣に丁寧な敬語を使う柴田竜拓内野手が、なぜか16歳上の藤井さんにはフランクに接していたのも珍しく、印象に残っている。

独立リーグへの挑戦は初めてで、関西で生活するのも初となる。GM補佐兼投手コーチという肩書だが、トレーニングコーチのような役目も果たしているという。さらには講演や営業の仕事もあるという。今季は打撃投手と広報を兼務。パソコンを駆使し、川村丈夫投手コーチ(来季からBC・神奈川監督)のオンライン取材なども仕切ってくれた。「夏場ぐらいから、広報の仕事がなかなかできなかった。ナベちゃん(渡辺雅弘チーム付広報リーダー)に迷惑かけた」と振り返っていたが、来季は兼務の幅がさらに広がる。

大変そうではあるが、心配はしていない。明るく前向きな性格は、どんな職場でも適応するはず。今年日本一になったヤクルト高津臣吾監督が、独立リーグのBC・新潟で初めて監督を務めたのは、9年前の44歳シーズンだ。くしくも藤井さんは44歳。指導者としての新たなスタートを楽しみにしている。【DeNA担当 斎藤直樹】

ハイタッチするヤクルト藤井(左)と高津(右)(2002年8月撮影)
ハイタッチするヤクルト藤井(左)と高津(右)(2002年8月撮影)