行動1つにも人柄や信条がにじむことがある。西武の開幕投手は高橋光成投手(25)に決まったが、それを発表した時の辻発彦監督(63)にも、それが強く表れていた。
例年、キャンプ最終日だった開幕投手発表は今年、打ち上げ2日前となる2月18日の午後0時30分ごろだった。理由は2つ。1つは同日、多くの球団が休養日で話題が少しでも大きくなること。もう1つは18日は暦で縁起がよくないとされる赤日だったが、午前11時から午後1時は吉ということで、その中での時間と決めた。
その取材対応の最後。指揮官は報道陣に少しでも大きく扱うようにお願いし、こう付け足した。
「あなたたちもチームだからね」
その言葉を聞いて、野球の以前に担当していた別競技の名将のことが頭に浮かんだ。箱根駅伝で6度優勝している青学大の原晋監督(54)である。
原監督の功績は圧倒的な結果はもちろん、陸上界のイメージをがらり変えようと奔走した部分にある。ストイックで寡黙。そういえば聞こえはいいが、目立つことに否定的な空気があり、“暗い”とのイメージがつきまとっていたのも事実だった。だから、原監督は自ら積極的にテレビにも出て、意見を発信し、明るく振る舞った。そして“チーム原”と報道陣を大切にした。注目されれば、選手に自覚が芽生える。自覚が生まれれば、成長は加速する。その好循環が常勝軍団たる理由になった。
辻監督は先の言葉の後、「優勝したら、絶対いいことがあるからよろしくお願いしますよ」と続けた。そこには2人に共通する思いが垣間見えた。勝負事は、土台となる実力はもちろん、同時に機運が生み出す、うねりも重要になる。「公平性」という大原則は肝に銘じながら、同時に担当記者としての思いも込めて、筆をとっていきたい。【西武担当=上田悠太】




