2月の広島春季キャンプで、フライ捕球のメニューが組まれた。内外野それぞれのポジションに選手が散ると河田雄祐ヘッドコーチ(54)の声が飛んだ。「球が落ちてくるまで声出すなよ! 間違っても(フライが)上がった瞬間に声なんか出すなよ!」

スタンドからその指示を聞いて3つの疑問が浮かんだ。

(1)なぜ打球が上がった瞬間に声を出してはいけないのか

(2)なぜ声を出すタイミングは打球が落ちてくるときなのか

(3)そのタイミングで声を出して遅くないのか

練習後の河田ヘッドコーチに指示の意図を問うと、丁寧に説明してくれた。

「(ZOZO)マリンとか甲子園の風が強い球場だと、球が上がったところと落ちるところが全く違う。ファーストの上に上がったかと思ったら落下点はサードなんてことが平気で起こる。ボールが風の影響を最も受けるのは上がりきって落ちるまで(放物線の頂点付近)の勢いがなくなる瞬間。つまりそれまでは誰が捕るかなんて決められない」。

なるほど合点がいった。こちらの疑問を解消してくれた。それぞれの疑問の解は以下のようだ。

(1)打球が上がった瞬間には捕球者が決められないから

(2)打球が落ちてきてからは風の影響を受けにくく、捕球者を決めやすいから

(3)皆が捕球する気持ちで打球を追えば、そのタイミングの声でも決して遅くはない

派手なダイビングキャッチや大きなホームランも、もちろんプロ野球の魅力の1つだ。だが、こういったプロの技術にも目を引かれる。【広島担当 前山慎治】