広島はここまで12球団で唯一ドラフト1位指名選手を公表している。明大・宗山塁内野手(4年)の指名公表は広島ファンだけでなく、他球団ファンも驚かせた。チーム編成上、右打ちの打者が不足しているとみられるが、小園や台頭した矢野もいる左の内野手の指名が決まった。それだけの逸材であり、スター性やリーダーシップの面でも高く評価しているという。

球団の1位指名公表によって、現有戦力の右の長距離タイプ、末包昇大外野手(28)への期待はおのずと高まる。慢性的な得点力不足解消には、球団が絞り込みに入った新外国人選手の獲得に加え、日本人選手の長距離砲の働きも欠かせない。

昨季2桁11本塁打を放ち、OPS・862を記録した末包は今季、自己ワーストのOPS・664に終わった。特に左太もも裏を痛から復帰した8月、苦しんだ。

「打球が上がらなくなった。ゴロが多かった。前半良かったときはアウトもライナーのものがあった。何とか単打でも1本というところに執着して、ホームランを狙いきれなかった」

復帰戦で1発を放ち、17日ヤクルト戦では1試合2本塁打も、そこから下降。同日以降138打席で本塁打なく、シーズンを終えた。チームの慢性的な得点力不足もあり、意識は自然と長打よりも出塁することに向いた。スイングが次第に小さくなり、長打どころか単打もでなくなった。本塁打数は昨季の11本から9本に減り、長打率も5割5分4厘から3割8分1厘に大きく落とした。

「9月はいいところで僕に回ってきて、全部打てなかった。大事なところで打てないといけなかったという思いもありますし、もっとホームラン、打点を稼いでれば楽な展開になっていた試合もあった」

自身の調子は上がらず、チーム全体も低調なまま、9月の大失速を招いた。

それでも球団が末包に期待を抱く理由は、6月の離脱までに昨季のような可能性を示したからだろう。開幕に出遅れながらも離脱するまでの34試合で6本塁打を放ち、OPSも・810を残した。シーズン途中のケガによる影響は少なからずあった。

「ヘッド(藤井ヘッドコーチ)が“真のエース、真の4番が…”と言っていましたが、4番を目指していきたい。坂倉、小園と中軸でやっていきたい」

今オフは再び力強いスイングを取り戻すべく、振り込んでいく覚悟だ。5日のシーズン最終戦に先発出場した昨年ドラフト4位の仲田や一昨年ドラフト2位の内田という次世代の中軸候補もいるが、来季は末包が球団の期待に応えなければいけない。【広島担当=前原淳】

明大・宗山塁(2024年9月21日撮影)
明大・宗山塁(2024年9月21日撮影)