コロナの取材規制で思うように話を聞けなかったが、全チームのキャンプを視察できた。とはいっても昨年と同様、キャンプ視察の目玉になる新外国人選手はほとんど来日していない。物足りなさは残っている。その分、ルーキーや若手選手のプレーは例年以上に見ることができた。練習のスタイルや選手の指導法が、昔とは明らかに違ってきている。

ひと昔前もルーキーには飛ばしすぎないようにブレーキをかけていた。しかし2年目以降は容赦なし。自分のペースなど許されない雰囲気があった。特にランニングやノックなど、基本的な練習はきつかった。よく怒られもした。キャンプ独特の異様な緊張感があった。

今のキャンプはきつい練習が減り、その分どこも紅白戦や練習試合といった実戦練習が早まっている。結果が出なければ自分の責任だし、競争には勝てない。現代のキャンプはある意味ドライで、昔より過酷なのかもしれない。

野球という競技は、つくづく難しいと思った。団体競技でありながら、個人技能における比率が高い。それぞれの選手の体力や技術も違うし、プレーする年代幅も広い。同じグラウンドの中、みんなで汗を流すと言っても、その中身は大きく違ってくる。

怠け者だが頑健な体を持っている選手は、昔ながらの厳しい練習や手取り足取り教える指導で成長した。一方、センスはあるが体の弱いタイプは消えていった。現代では自分で課題を持ってやれる選手でないと、出てこられなくなっている。

ヤクルトの奥川が打撃投手に登板したときだった。最初の方はシュート回転し、良く見えなかった。2年目を迎えた昨年も同じ弱点が見受けられた。しかし今年は投げていくうちにシュート回転する球が減っていった。高卒3年目の投手とは思えない修正能力だった。

思えば昨年は間隔を空けながら先発し、結果を残していった。短い間で修正できる能力があるから投げ込む必要がなく、間隔が空いても自分の力を発揮できるのだろう。個人の特性を見極め、それに合った育成法を考えないといけない。

ヤクルト奥川恭伸(2022年2月6日)
ヤクルト奥川恭伸(2022年2月6日)

伸び悩む若手というのは、教えられたことだけを中途半端にやっているだけ。厳しくやるわけでもなく、教えられたことを自分でかみ砕いて理解していない。教える側も教えられる側も、その辺のバランスが大事になってくる。

良くも悪くも、自主性を重視したメジャースタイルが、今後の主流になると思う。キャンプでの実戦練習は今よりもっと早くなり、増えていくと思う。どんな選手が出てきて、どんな選手が消えていくのか。その答えを模索しながら、今年のプロ野球を楽しみに見ていきたい。そして私自身も勉強していきたいと思う。(日刊スポーツ評論家)