昨年まで中日2軍バッテリーコーチを務めた日刊スポーツ評論家・田村藤夫氏(60)が、プロ1、2年目の若手が多数出場した26日の巨人-ロッテ戦(東京ドーム)を取材した。大阪桐蔭時代に甲子園を制覇したロッテ藤原恭大外野手(20)、巨人横川凱投手(19)の同期対決を見ながら、同じ大阪桐蔭の中日根尾昂内野手(20)と藤原のバッティングに共通する課題をリポートする。

   ◇   ◇   ◇

藤原と横川の対戦は見ていて引きつけられた。プロ2年目、甲子園で優勝した仲間だが、プロではライバル。高校の同級生とプロで対戦するという場面はなかなかない。珍しい対戦だと思いながら、2人の勝負を見ていた。

初回、藤原がヒットで出塁した。藤原のスイングは速い。根尾もそうだったが、ストレート狙いで見せるスイングの鋭さは印象に残った。そして、2打席目。スタンドの記者席から見ていた私は、横川の投げる姿に感じるものがあった。当然のことだが「打たれたくない」という気迫が、その投げっぷりから感じられた。第1打席よりも力を入れていたようだった。結果はスライダーで空振り三振を奪った。

横川は141キロのストレートと、スライダー、カットボール、フォーク、カーブを使いながら、打たせて取るピッチングに徹していた。ストレートはそれほど速くはない。自分の球威をよく理解しているようで、変化球を低めに丁寧に投げている。7回を5安打1失点の結果だったが、右打者にはインコースをストレートで攻め、外へのフォークで打たせ、左打者にはカットボールと外のスライダーでタイミングを外しており、内容があったと感じた。

一方の藤原は、鋭いスイングを見せるがファウルになる打球もあった。打ち損じをしない、確率を上げることが求められている。プロでは1軍の主力といえども、対戦投手によって打ちあぐねるものだ。ストレートが速くて、鋭いフォークがあれば、どんな打者でも打ち崩すのは難しい。だから、甘いボールは逃さず仕留める確実性がものを言う。

昨年、中日2軍で見た根尾も、藤原と同じで真っすぐ一本に絞って懸命にバットを振っていた。まだ変化球対応には課題があったし、それは高卒ルーキーや2年目にはすぐにはできない技術だ。実践を積みながら、少しずつ身に付けていくしかない。特に、相手投手が丁寧に低めに集めると、見極めるのはより難しくなってくる。藤原も同様に、低めの変化球への対応に課題があるからこそ、甘いストレートをヒットゾーンに打つ確率を上げることに取り組んでもらいたい。(日刊スポーツ評論家)