マツダスタジアムのエレベーターを待っていると黒田博樹が降りてきた。地元テレビの解説だ。日米のレジェンド。その黒田が頭を下げながらこう言う。「おめでとうございます!」。
広島カープ、そしてメジャーで活躍した黒田は大阪人だ。心はカープにあっても大阪、関西の人間にとって「阪神優勝」がどういう意味を持つか、いやというほど分かるのだろう。
しかし、こちらが優勝したわけではない。「私に関係ないでしょ」と笑ったが妙な気分だ。普段から虎党を掲げている方々も職場で学校で同じようなことを言われた日ではないか。
18年ぶりVを決めた前日の巨人戦(甲子園)。「ほお」と思ったのは9回、岩崎優から坂本勇人が本塁打した場面だ。7回には岡本和真もアーチをかけている。巨人主力の意地を感じたが、ともに関西人だ。特に奈良出身の岡本は虎党であることを隠さなかった。
そしてこの広島戦だ。小園海斗が猛打賞。アクシデントで二塁打を放った後、交代したが野間峻祥は2安打だ。その代わりに出た大盛穂も貴重な安打を放っていた。この3人も全員、出身は関西である。
ハッキリ言って“妄想”だし、もちろん、そんなはずはないのだが、まるで関西の1つの象徴でもある阪神の優勝を、それぞれの活躍で祝福しているように感じたのである。アホなことを…と笑われるだろうが。そこで同時に思うのはこういうことだ。
大阪を中心とした関西は野球どころである。高校野球から名選手も多く生まれてきた。しかし、そんな選手は巨人や西武、関東のチームに行くことが多かった。ドラフトなので仕方がない面はあるのだが同時にこんな話もアマ球界ではまことしやかに伝えられた。「阪神にはいかせたないな」-。
選手が育たない。チームのビジョンが見えない。そして弱い。そんな理由で有望選手から敬遠されたという。しかしその体質も徐々に変わり、チームはAクラスが当たり前になってきたし、例えば近本光司、佐藤輝明、さらに小野寺暖ら関西弁を話す有力選手は増えてきた。いい傾向だろう。
何しろ現在の指揮官は、丸出しの大阪弁を話す岡田彰布だ。他地区出身がよくないということではないけれど、さらに強く、そして関西色のあるチームにしてほしい。そんなことを思っている。(敬称略)
【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




