山口大会決勝で、下関国際の大黒柱が頼れる男ぶりを発揮した。エースで4番の鶴田克樹投手(3年)が「V弾&完封」で、04年岩国以来、14年ぶりの夏の山口連覇を達成した。優勝の瞬間、マウンドで両手を高く上げた鶴田は「昨年は3年生に連れて行ってもらった。今年は自分で、という思いで投げていた」と3季連続甲子園に胸を張った。

 1回1死一、二塁で左中間へ特大の先制3ラン。「完璧な当たりで打った瞬間、入ったと思った」。マウンドでは宇部鴻城打線をわずか3安打。自己最速を更新する147キロもマークし、9三振も奪った。負担になるからと、大会前は坂原秀尚監督(41)から4番から降ろすことも提案されたが「最後の夏まで4番でエースを貫きたかった」。打っては今夏5試合21打数11安打13打点、打率5割2分4厘、2本塁打。こだわり続け最高の結果を出した。

 昨年秋の中国大会決勝(おかやま山陽戦)で9点差を逆転されて敗れた。「自分を変えないと、また打たれる」。電車で約20分の北九州市門司区の自宅から通学。午前6時半からの早朝練習は両親の車で送ってもらうこともあったが、学校の寮への入寮を決断。センバツで初戦敗退すると、さらに追い込んだ。「毎朝、朝練習の前に5時からグラウンドに出て800メートル走を10本など、下半身を鍛えた」。精神的にも肉体的にもたくましくなった右腕は最後の夏、頼られるエースで4番になっていた。

 イニングの相手に「スタンドのみなさん、ごくごくタイムです。水分補給をしましょう」とアナウンスされる猛暑の中、鶴田はひときわ輝いていた。坂原監督の声も弾んだ。「記念の100回大会で甲子園に行こうと声をかけて入学してくれた3年生がやってくれた」。3季連続甲子園だが、まだ校歌は歌っていない。「学校の歴史を変えたい」。鶴田のでっかい胸は希望で膨らんでいる。【浦田由紀夫】