5日に開幕する第100回全国高校野球選手権記念大会(甲子園)の組み合わせ抽選会が2日、大阪市内で開かれ、星稜(石川)が開幕戦を引き当てた。皇太子さまをお迎えして開催される開会式後の始球式には、星稜出身で、巨人や大リーグのヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(44)が登場する。松井氏が投げて星稜の1番打者が打席に入る。あるいは松井氏が投げて星稜の捕手がボールを受ける。節目にふさわしい幕開けとなる。

 星稜・林和成監督(43)は“吉報”の瞬間、右拳を握った。「ちょっと震えが止まりませんでした。記念大会の開幕戦で、しかも松井先輩が始球式をされる。この上ない喜び。頭の中、真っ白です」と興奮気味に話した。史上最多の56校の中で抽選順は49番目。34番目の藤蔭が先に開幕カードを引き当てていた。「たくさんの方から(開幕戦を引き当ててと)言われていた」と明かした竹谷理央主将(3年)は重圧から解放され? 「右手で一番右端を引くことを決めていました。運に恵まれている」とホッとしていた。

 忘れられない開幕戦となるに違いない。1学年上の松井氏と92年センバツで三遊間を組んだ林監督は「勝利は当然だが、星稜の伝統を継承している姿を見せたい」と意気込んだ。石川大会決勝で4本塁打を放った竹谷は「松井さんという大先輩の前で試合ができる。勝ちにこだわりたい」。石川大会で5発の南保良太郎内野手(3年)は「松井さんの始球式の後でうれしい」。松井氏と同じ小中学校、野球クラブ出身でU15日本代表だった寺西成騎投手(1年)は「松井さんの見ているところで投げたい」と気合をみなぎらせた。

 「ますます負けられなくなりました」と決意を新たにした林監督だが「松井さんが投げるとなると先攻、後攻が影響する。どっちを選択するか迷う。普通にいけば後攻だけど」と苦笑いした。石川大会は全5試合中、4試合で後攻だった。「ジャンケンに強い」と話す竹谷主将の勝敗次第では松井氏との“対戦”が実現するかもしれない。

 石川大会決勝では7本塁打22得点をたたき出し、守っては5試合で失点0。歴史的な圧勝で勝ち進んだ。センバツの8強を上回る初の全国制覇も見据えている星稜が、熱い夏のオープニングにレジェンドの松井氏と“一緒に”臨む。【鶴屋健太】

 星稜元監督で現名誉監督の山下智茂さん(73)のコメント 開幕戦を引けと言っていた。運にすごく恵まれている。

 ◆松井氏が甲子園に出場した92年センバツでも星稜は開幕戦に登場している。そのとき、松井氏は3回と5回に3ランを放つなど2アーチで4打数4安打7打点。試合は星稜が9-3で宮古(岩手)に勝利した。

 ◆攻守決定 先攻後攻は審判委員立ち会いの上、両校主将のじゃんけんで決まる。第1試合は開始予定時刻1時間前、第2試合以降は前試合の5回終了後に行われる。