強豪撃破の1発だ。春夏通じて甲子園初出場の折尾愛真(北福岡)は日大三(西東京)との初戦が決まり、高校通算40発男、松井義弥内野手(3年)が聖地弾を誓った。

 “福岡のゴジラ”がほえた。高校通算40発をマークする松井がきっぱりと言い切った。「相手に打ち勝ちたい。絶対に甲子園でホームランを打ちたい気持ちが強くなりました」。主将としてクジを引いた相手が、強打を誇る日大三。長打力自慢の“先輩格”ながら、プロ注目スラッガーとしての「腕試し」と言わんばかりだった。

 日程的には「100点満点」をつけた。「日にちも最初の方はいやだったし、第1、第4試合もさけたかった」。大会第6日第2試合。まさに希望通りに引き当てた。「個人的にはすごいワクワクしている。初戦に合わせてしっかり調整していきたい」。北福岡大会6試合で1発に終わった4番が高校通算41本目を晴れの舞台で放つつもりだ。

 「ビデオを見たことがあります」。松井がそう振り返るのは、7年前の山口国体に出場した時の日大三の打撃。奥野博之監督(48)が「当時、すごい打線だったし、選手らに見せたいと思った」と部員を連れて観戦した。その時のビデオは「お手本」として受け継がれ、松井を含めこのチームも見た。「体のすごさもあったし、勉強させてもらった」(奥野監督)。これを機に、身体測定を行うようにもなり、今夏、北福岡大会6試合チーム10発での甲子園出場につなげていた。

 「相手が甲子園常連校でも関係ない。自分たちは気持ちで負けません」。松井は自分のバットで打撃戦に終止符を打つシーンを思い浮かべていたに違いない。【浦田由紀夫】