全国高校野球選手権100回記念大会の新潟代表・中越(2年ぶり11度目)は3日、ベイコム野球場(兵庫・尼崎市)で紅白戦を行った。打線の要、3番坂井翔太(3年)は3打数1安打。左翼線二塁打1本を放つなど好調を維持。前日2日の組み合わせ抽選で大会初日(5日)第3試合で慶応(北神奈川、10年ぶり18度目)との対戦が決定。左腕エース生井惇己投手(3年)の攻略に右の主砲が手応えをつかんでいる。今日4日は開会式のリハーサルが甲子園球場で行われる。

 鋭いゴロが左翼線に飛んだ。ライン際にボールが転がる間に坂井はノンストップで二塁を狙い、余裕で滑り込んだ。「内角に来たら、体の回転で持っていく」。レギュラー組とサブ組に分かれて行われた紅白戦。坂井はレギュラー組の3番に入り、サブ組の左腕・佐藤雅之(3年)古川宗弥(2年)と対戦。二塁打は佐藤との2度目の打席だった。

 内角球をスムーズに左方向へ運ぶ。ほかの2打席も内角球を左飛2本。「体の開きが早く、ひっかけた」と反省するが、原因を理解しての結果。「明日(4日)の練習で修正する」。1日あれば十分に対処できる自信をのぞかせた。

 慶応の投手陣は生井と渡部淳一(3年)の左腕2人が軸。2日に組み合わせが決まった後、坂井は宿舎で慶応-桐光学園の北神奈川大会決勝の動画を見た。140キロ前後の直球を持つ生井の投球を中心に1時間ほどチェック。「内外角に直球を決められるタイプ。チェンジアップの見極めが大切」と要点を整理。その上で「行ける感じ」と攻略の手応えをつかんだ。

 もともと左投手は苦にしない。「ボールに逆らわずに打ち返す」。基本は中堅から右。内角球は左に。徹底した形がある。「打撃に関してはとことん追求するタイプ」。本田仁哉監督(41)は坂井をこう見る。そして「県大会のように、相手が無理に勝負しないケースもあり得る。それでもボールの見極めがしっかりできる」と信頼を置く。

 慶応戦はプロ注目の打撃センスを全国で初披露する場でもある。「まず1勝。3番打者として点を取れる場面でしっかり打ちたい」。自分の仕事をすることで、チームを勝利に導けると確信した。【斎藤慎一郎】