全国高校野球選手権100回記念大会が今日5日、甲子園球場で開幕する。新潟県代表の中越(2年ぶり10度目)は第3試合で北神奈川代表・慶応(10年ぶり18度目)と対戦。中越のエース山本雅樹(3年)は4日の練習で31球を投げるなど、普段通りの調整で準備を終えた。1994年(平6)以来の初戦突破に向け、臆することなく慶応打線を封じにいく。

 集中した31球だった。ブルペンで最終調整を行った山本は捕手を座らせて16球、その後、左打者の富井新大(2年)を打席に立たせて15球。「最後は内角に直球を投げた」。自信のある球で締めくくる。

 「緊張はしていないです。お客さんが多い中で投げるのが楽しみ」と笑顔で言う。甲子園の初戦前日。とはいえ、特別なことはしていない。球数も、打者を立たせての投球練習も、いつも通りの試合前日のメニューだった。

 唯一、対策を立てたのは左打者をダミーにしたこと。「相手の1、3番はいい打者。内角を軸に攻める」。3日夜、北神奈川大会決勝の慶応-桐光学園戦のDVDをバッテリーで見た。1番宮尾将(3年)、3番下山悠介(3年)のスイングを目に留め、さっそく封じ方をイメージした。

 打席に立った富井は山本の好調ぶりを肌で感じた。「直球が走っているし、変化球も低めに集まっている。スプリットは手元で落ちた」。本田監督も「県大会と同じようにしっかり準備している。状態はいい」と太鼓判を押す。

 県大会準決勝、決勝と完投勝ち。準決勝の新潟産大付戦では自己最速の141キロをマークするなど上り調子で甲子園に乗り込んだ。そんなコンディション以上に武器になるのは、度胸の良さだ。

 この日の練習前、甲子園で開会式のリハーサルが行われた。山本は「特に何も感じなかった」と笑う。大舞台であろうと、相手が強豪校であろうと、自分の投球をするだけ。「三振をたくさん取りたい」。24年ぶりの初戦突破へ、試合を仕切る準備はできた。【斎藤慎一郎】