28年ぶり出場の藤蔭(大分)は、初白星をつかむことができなかった。

 星稜(石川)の強力打線を抑えきれず、中盤に引き離されての完敗だった。原秀登監督(45)としては、自ら主将として夏甲子園に挑んで以来の舞台。「これが全国の強豪の力だと感じた。28年前は子どもだったし、あっという間に終わった。(監督として出場の)今回は短かったけど、長かった」。開幕戦で敗れて甲子園を去ることに寂しそうだった。

 先発マウンドに立ったのは故障明けの吉村紘輝投手(3年)だった。昨年6月に右ひじ靱帯(じんたい)を損傷して、ブルペンに入ったのは今年の春。今夏の大分大会ではベンチにも入れなかったが、仲間に甲子園に連れてきてもらっての大舞台。「みんなに感謝してます。持てる力は全部出せた」。3回途中4失点の結果にも涙はなかった。

 吉村に代わって甲子園へと引っ張ってきた市川晃大投手(3年)は「吉村とリレーできてうれしかった。負けたけど、こんな素晴らしい舞台で(高校野球が)終われてよかった」と振り返っていた。