作新学院(栃木)・横山陽樹外野手(1年)は大阪桐蔭の校歌を聞きながら悔しさをにじませた。「3年生の夏を終わらせてしまい悔しい」。1点を追う8回2死二塁、大阪桐蔭・4番藤原の打球は右翼の横山の前へ。「自分が刺せば流れがくると思った」と全力で前に突っ込んだが走者が目に入り後逸。打者走者の藤原も生還し、試合を決定づける失策となった。

 将来を嘱望される次世代スター候補だ。中学時代には、ボーイズリーグの日本代表の4番捕手として、世界一に輝いた。小針崇宏監督(35)が「勝ちに行くチームを作るためには変化が必要」と、1年生ながら甲子園からメンバーに抜てき。初戦で1番に起用され、試合開始のサイレンが鳴りやまぬうちに初球を左前打。痛恨の失策直後の9回にも先頭で中前打を放ち、2安打の活躍を見せた。

 一丸となって、大阪桐蔭を追い詰めた。1点を追う3回からマウンドに上がった2番手佐取が緩急を使った投球で5回を無失点の好投。「今まで投げた最長イニングは4回ぐらい」と過去最高の投球。3人の投手をリードした主将の磯も「神様が味方についてくれているのかなと思った」と言うほど打者ごとに変えたシフトがはまり、8回2死まで0-1とくらいついた。小針監督も「やりざまは今までで一番だった」と認める試合だった。

 横山は「3年生のように来年、再来年も甲子園に来たい。この経験を同級生にも伝えて生かしたい」と言った。大阪桐蔭戦は、作新学院の新たな歴史への始まりとなる。【久永壮真】

 ◆横山陽樹(よこやま・はるき)2003年(平15)1月25日、宇都宮市生まれ。小学1年から奈坪クラブで野球を始め、中学では栃木さくらボーイズに所属。ボーイズ日本代表に選出され4番捕手で世界一を経験。高校入学後、チーム事情で外野の練習を始めた。家族は父、母、兄1人。好きな食べ物は母の手料理。177センチ、75キロ。右投げ右打ち。