<全国高校野球選手権:金足農5-1鹿児島実>◇8日◇1回戦

 創部100年を100回大会の勝利で飾ることはできなかった。鹿児島実(鹿児島)の初戦は1-5。金足農・吉田の前に、完封を免れるのがやっと。「ギアを上げるとスピンがかかって、打たしてくれなかった」。宮下正一監督(45)も相手をたたえるしかなかった。

 毎回塁上をにぎわしながら本塁に届かない。8回に1点を返し、なおも1死一塁。山下達也三塁手(3年)の送りバントは三邪飛となって、流れが止まった。山下が「速かった。目線が上を向いて、手を出してしまった」と悔やんだ。

 野球部の創部は1918年。鹿児島を代表する名門の夏は、過去18回出場して18勝18敗、5割の成績だった。鹿児島県勢の通算成績を見ると66勝66敗、これまたちょうど5割だった。この日勝っていれば、同校にも、鹿児島県にも5割超えの1勝となるはずだった。

 それが夏10度目の初戦敗退に。宮下監督は「OBとか応援してくれた方には申し訳ない。この経験を持ち帰って、創部200年に向けて進むしかない」と言い聞かせた。【米谷輝昭】