延長戦で競り負けた花巻東(岩手)佐々木洋監督(43)は、淡々と敗戦の弁を語った。継投のタイミングを問われると「西舘(勇陽、2年)では負けられなかった。延長に入ったことが計算外。(エース伊藤)翼の後に他の投手を出すことを考えられなかった」と、厳しい台所事情を明かした。

 夏本番を前に、投手陣の底上げができなかった。大黒柱候補の西舘が4月から腰痛に苦しみ、復帰登板は岩手大会決勝までずれ込んだ。今春のセンバツ初戦で東邦(愛知)を9回3失点で完投した左腕の田中大樹(3年)は、春の県大会後に左肩の張りが出てフォームを崩した。万全の布陣で甲子園に臨めなかった同監督は「相当計算外。うちの継投パターンができなかった」と肩を落とした。

 凡ミスもあった。10回、1点勝ち越されてなお1死一、二塁。藤森晃希二塁手(3年)が投ゴロ併殺の当たりをアウトカウントを間違えて一塁送球が遅れ、その後痛恨の適時打を許した。藤森は「勘違いした。完全に自分のミス」とうなだれた。同監督も「あのミスは大きかった。考えられない」と続けた。持ち味である攻守に隙のない野球を発揮できず、悔いの残る初戦敗退に終わった。【高橋洋平】