2年ぶり9度目出場の八戸学院光星(青森)が明石商(西兵庫)を延長10回に9-8で振り切り、2年ぶりの甲子園勝利を挙げた。4番東健太郎外野手(3年)が2本塁打を含む3安打4打点の活躍で、代名詞の強力打線をけん引。仲井宗基監督(48)は甲子園で無傷の初戦10連勝を飾り、通算20勝目を挙げた。2回戦は龍谷大平安(京都)と激突する。

 「猛打の光星」の金看板を復活させるには、十分なインパクトだった。4番東のバットが初回から火を噴いた。2死三塁、107キロの高めに抜けたチェンジアップを右翼席に突き刺して2点を先制。5回には逆方向の左中間スタンドに技ありのソロ。高校通算8本塁打の男が、甲子園で2本もアーチをかけた。

 東 1打席目はヒットを狙ってなかった。とにかく低い打球で進塁だけを考えていたらホームランになった。自分でもビックリ。2本目は逆らわずに逆方向に打てた。甲子園でホームランを2本も打てるなんて、めっちゃうれしいです。

 今年は、3季連続全国準優勝を支えた田村龍弘(現ロッテ)北條史也(現阪神)のような大駒はいない。それでも例年以上に打線がパワフルなのには理由があった。例年は3月までで終えていた筋力トレーニングを、今年は4月以降も継続した。日々の技術練習に週3日ほど、1日30分前後の筋トレ時間を設けた。提案した小坂貫志部長(40)は「せっかく筋力をつけたのに春で終わって、もったいなかった。腹筋、背筋を中心に鍛え続けさせました」と証言する。

 効果は早速出た。筋力を維持して迎えた春先の練習試合は15試合で20発の本塁打を量産した。今夏の青森大会でも5試合で9本塁打をマークし、打率は4割1分まで上昇した。小坂部長は「体重が落ちる夏も、維持はできていた。夏の県大会で9本の本塁打は記憶にない」と筋トレ効果を強調した。

 田村、北條の黄金期以降は春夏6度の甲子園に出場しているが、最高成績は14年夏の大会2勝止まり。甲子園20勝目を挙げた仲井監督は「飛び抜けた選手はいないが、総合力が高く、ディフェンス力もある。いいチームになった」と手応えを口にする。長打力と筋力を兼ねそろえた新打線で、目の前の壁をぶち破る。【高橋洋平】

 ◆夏甲子園20勝 八戸学院光星が夏の甲子園20勝目を挙げた。東北勢で夏の甲子園20勝は仙台育英(宮城=33勝)東北(宮城=28勝)に続き3校目。19勝の聖光学院(福島)は報徳学園(東兵庫)に敗れ、大台到達は来年以降に持ち越しとなった。歴代トップは中京大中京(愛知)の78勝。また10年に就任した仲井監督は、春夏通算で節目の甲子園20勝となった。