創部130周年の慶応(北神奈川)が2回戦で姿を消した。102年ぶり優勝を目指したが、高知商の強力打線につかまり12失点。先発したエース生井は「実力不足です。正直、相手の打線が怖かった。どうやってアウトを取ればいいんだろうと」と泥だらけの手で涙をふいた。

 強豪の東海大相模、桐光学園を倒し、たどり着いた甲子園。1回戦は中越にサヨナラ勝ちと勢いに乗った。森林貴彦監督(45)が掲げた2回戦のテーマは「迅速果断」。勝負の機微を見逃さぬよう「1人1人の判断が必要になる。打席に立った時の判断、守備位置の判断が必要」と送り出した。しかし北神奈川大会で1試合平均1・17個だった失策が、2回に3つ。初回には走塁ミスもあり、監督は「流れを食い止められなかった。勢いにのみ込まれてしまった」と振り返った。

 2番手の渡部が意地を見せた。祖父は、大毎や阪急で活躍した三平晴樹投手(享年77)。「すごい存在」と憧れた祖父が届かなかった甲子園で、5回2/3を無失点に抑えた。試合後は仲間と「楽しかったな」と言葉を交わし「ここまで、みんなと来られてよかった」。涙は乾き、笑みが浮かんでいた。【保坂恭子】