初出場ナインが王者を苦しめた。春夏通じて甲子園初出場の沖学園(南福岡)が大阪桐蔭(北大阪)根尾昂投手(3年)から2発を含め4得点。最後は大差をつけられたが中盤までは互角の戦いを演じた。南福岡大会から強豪を次々と倒して大舞台を踏んだナインは、後輩に対して大きな歴史を刻んだ。
無心に振り抜いた。沖学園・森島は心の中で祈った。「切れないでくれ」。5回先頭打者で放った打球が左翼ポールを直撃。自身、公式戦初のホームランは、甲子園という舞台で、優勝候補筆頭の大阪桐蔭・根尾の142キロの直球をたたいたものだった。「頭が真っ白になりました」。大観衆の歓声を浴びてダイヤモンドを1周した。
8回には阿部主将が同じ感激を味わった。根尾の129キロの変化球を振り抜くと、打球は左翼席へ吸い込まれた。好投手からチームで2発。「ど真ん中の変化球。体が反応した」。結果的には10点を奪われて敗れはしたが、4万5000人の観衆に「初出場沖学園」の名を知らしめた。
今年5月に左足首の靱帯(じんたい)を痛める故障から復活した森島。9回から登板した大阪桐蔭2番手の柿木からも中前打をマーク。直前で151キロを体感しながら次の121キロスライダーをうまく拾った。151キロに「マン振りしましたが、見たことない球でした」と森島。阿部も「素晴らしい投手と対戦できて最高の夏でした」と振り返った。
鬼塚佳幸監督(36)は、昨年秋に新チーム発足から監督に就任。「あいさつもできず、日頃の態度も意識の低いメンバーでした」。打てないとバットを投げ捨てたり、思うようにいかないプレー後に壁を足で蹴るような選手が多かった。我慢強く説得し、温かく見守ることで選手も変わっていった。「自分についてきてくれた選手に感謝です」と誇らしげだった。
抽選が決まった時から大阪桐蔭との対戦を楽しみにしていた。阿部主将は「守っていて怖くてドキドキしていた」、先発の石橋は「藤原くんの(4回左中間適時二塁打の)打球は自分の顔の横を新幹線が通りすぎる感じだった」と格の違いを感じた。そんな相手と中盤まで堂々と戦ったナイン。甲子園1勝のお土産を手に、大きく胸を張って博多に帰る。【浦田由紀夫】

