桜井(奈良)の逆転劇は中堅を守る小角(こすみ)一起外野手(3年)の「神ダイブ」から始まった。2点ビハインドの7回2死。浅い飛球に飛び込んだ。「リズムをつくろうと思って飛び込みました」。好捕で流れが変わった。その裏に2点差を追いつき、8回に坂田颯太郎内野手(3年)の勝ち越し打が生まれた。
小角は9回にマウンドへ。1点差に迫られたが最後は2連続奪三振でグラブをたたいた。1年夏からベンチ入りした投打の主力。だが1年秋から右肩痛に悩み、投手復帰は今春だった。
長いリハビリを支えたのは母純子さん(47)。毎月、整骨院の治療に付き添い「地道にトレーニングしたら投げられるようになるよ」と励まし続けた。「1人じゃないよ。応援しているよ」と言葉を託し、夏初戦に送り出していた。二人三脚で歩んだ息子の活躍に純子さんは「飛び込んだのは初めて見ました。すごくうれしかったです」と感激した。
昨秋就任した木下正貴監督(30)に公式戦初勝利もプレゼント。選手とともに筋トレするなど同じ目線で成長を後押ししてくれる指揮官だ。シャイな小角も自分の意思を伝えられるようになった。母のためにも監督のためにも甲子園へ。「最後の夏は自分が引っ張りたい」と誓った。【村松万里子】

