高校通算140発の花巻東(岩手)佐々木麟太郎内野手(3年)が、6日に開幕する第105回全国高校野球選手権記念大会に出場する。アーチを量産する大型スラッガーの打撃フォームを、日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏(52)が分析した。
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高校通算で140本塁打をマークしているだけの“パワフルさ”が、この打撃フォームからも伝わってくる。これだけホームランを打っているのにセンター前ヒットの連続写真というのは残念だが、実際にホームランを打っている映像は何度か見ている。そのイメージと照らし合わせて解説していきたいと思う。
構えている<1>は自然体で、グリップの位置は体の近くにある。右投げ右打ちの長距離砲はボールとの距離を長く取るためにグリップの位置を深くしていくタイプが多いが、佐々木は右投げ左打ち。右の利き腕でバット操作をしやすくするため、グリップを体の近くに置いているのだろう。
ボールとの距離が取りにくい分、左肘を大きく空けて構えている。花巻東の先輩でメジャーで大活躍している大谷も同じで、こうやって左肘を空けてから体の前に入れていくように使えると、バットを内側から出せるし、ヘッドを加速させて使える。右投げ左打ちの長距離砲ならではの構えだといえる。
少し気になるのは、構えたときに右足のつま先が内側に入り過ぎているところだが、<2>~<5>にかけてつま先を開いていくように踏み込めている。つま先が閉じたまま踏み込むと、体の回転がしにくくなってバットのヘッドが返りやすくなってしまい、変化球に対応する「間」が短くなる。右足の内側ではなく、外側に壁ができやすくなってスイングパワーがロスするが、しっかりと下半身を使えて打ちにいけている。
もったいないのが<6>の瞬間。左太ももの付け根付近にためた力が、解けてしまっている。この流れのままに動いていくと、ドアスイング気味のスイング軌道になるが、<7>で左腰の股関節を内側にひねるように使えている。よほど股関節が柔らかいのだろう。弱点になりそうな下半身の動きを、股関節の柔らかさで長所に変えるような動きに変えられている。
このヒットはカウント1-2で、追い込まれてからのスイング。その分、ボールを見て引きつけて打とうとしているのだと思う。ミートポイントがとても近く、その分、打球の角度が上がらなかったが、痛烈なライナーでセンター前にはじき返している。もし追い込まれていなかったら、ホームランにできていたのではないか。
ミートポイントを近くしても、<8>と<9>で体を後ろにそるように使ってスエーしている。ミートポイントを近くにしても、体をそらしてボールとの距離を取り直せるから、バットの振り抜けもいい。おそらく並外れたパワーがあるから詰まることを恐れずに、メジャーのバッターのような体の使い方ができるのだろう。天性のホームランバッターの資質といっていい。
振り切った<10>も走り出す<11>の動きも、体の芯に力強さを感じさせる。打つだけなら、近年見たバッターの中で文句なしのNO・1。どれだけホームランを打ち続けていくのか。今後も楽しみにしている。(日刊スポーツ評論家)

