侍打線が勝負の鉄則を思い知らされた。3点リードの7回無死一、二塁、8回2死一、三塁。いずれも決定打が出なかった。終盤の追加点で韓国の戦意を根こそぎ奪っていれば-。タラレバにはなるが、9回の悲劇が起きる可能性は低くなっていた。扇の要の嶋は「(9回は)相手の代打が次々に来たけど、うちもチャンスで点が入れられず、悪い流れが9回にすべて出た」と悔しそうに言葉を絞り出した。

 4回は理想的につながった。1死一塁から中村晃が左前打でつなぎ、平田が左前先制適時打。相手失策と坂本の犠飛で3得点を奪った。ロッテで対戦している先発イ・デウンを降ろし、優位に試合を運んだ。

 台湾での激闘を終え、小久保裕紀監督(44)は打線に確信を深めていた。「この打線を(つなぎの部分で)信頼している。(采配で)動かない方が正直きつい。でも韓国戦以外は攻略しているから」。1巡目は極力、走者を出しても馬なりに任せた。それでもこの日は2回にエンドランを仕掛けるなど序盤からムチを入れ、打線にメッセージを送った。

 だが連鎖したのは、4回だけだった。極太の柱ともいえる中村剛を右太もも痛で2戦連続で欠き、代役で4番を張った筒香は「向こうの勢いもあった。でも打てなかったのは僕の実力」と受け止めた。今大会は神懸かり的な働きを見せてきた中田も9回2死からの安打で意地を示すのにとどまった。「負けてしまっているので、まったく無意味。大谷がすごくいい投球をしていたので、もっと点を取ってあげたかった」。つながらなかった。だがこの黒星を未来につなげなければならない。【広重竜太郎】