3位で終わったプレミア12。17年WBCでの世界一奪還には、あらためて浮き彫りとなった課題があった。プレミア12取材班キャップの佐竹実記者(40)が今大会を振り返り、改善策を提言した。

 日本野球機構(NPB)に、侍ジャパンの強化専門部署はない。今年からの常設化にともない、ロースター制度が導入されたが、これは侍ビジネスを推進するNPBエンタープライズ側からの提案。日本代表を広く認知させることでブランド価値を高め、営業を推し進めたい狙いがあった。

 メンバーが65人→45人→28人と絞り込まれていくことで、選手のモチベーション向上効果も確かにあった。営業面でも継続的な露出により、スポンサー獲得につながった。しかし代表チームの強化につながったかというと疑問は残る。

 国際大会は12球団の協力なくして戦えない。営業面を切り離し各球団と定期的に話し合い、小久保監督が求める役割を担える選手を選定する、強化委員のようなポストが必要ではないか。今回で言えば、本来先発である則本の中継ぎ起用など。代表で負傷した際の補償の薄さを指摘する球団もある。これらを監督自らが担うことは、現実的に難しい。

 NPBエンタープライズの今村社長も「ドリームチームの最大のコンテンツ価値は勝つこと。その上で営業を進めることが本来の形」と話す。球団の利益最優先の現状では理想論かもしれない。しかし踏み出さなければ、変化は生まれない。今大会をはやりもので終わらせないためには、侍ジャパンの強化体制そのものを整えることが不可欠と考える。【佐竹実】