立正大が駒大との優勝決定戦を8-1で制し、2009年(平21)秋以来、18季ぶり2度目の優勝を飾った。主将で4番の伊藤裕季也二塁手(4年=日大三)が、先制のソロ本塁打を含む3安打2打点の活躍で優勝に貢献し、最高殊勲選手とベストナインを獲得した。就任6年目の坂田精二郎監督(44)は、社会人のシダックス時代に野村克也監督から学んだ「野村の教え」を浸透させ、初の優勝に導いた。立正大は11月9日開幕の明治神宮大会(神宮)に出場する。

立正大・伊藤裕が「坂田流ID野球」を実践した。2回無死、2ボールから狙い球をスライダーに絞った。同じような軌道の134キロのカットボールを強振。左翼席に先制ソロを放ち、流れを引き寄せた。「普段から監督が配球など、ヒントになることを言ってくださるので」。点差、カウントなどから冷静に球種を読み、迷いなく振った。

坂田監督からは「頭を使う、考える野球」を教わった。同監督は社会人野球のシダックス時代、ヤクルトなどで監督を務めた野村克也氏の「ID野球」を吸収。伊藤裕も野村氏の著者を自主的に読んで、この4年間で「頭で勝つ」野球を磨いた。「最初は理解が難しかったが、根拠のある野球を知った」。野球の奥深さを肌で感じて、成長した。

ダブルの歓喜の瞬間も訪れた。試合後に行われたドラフト会議では、DeNAから2位指名。「DeNAは勢いと人気のあるチーム。正直、こんなに早く選ばれると思っていなかったのでびっくりです」と驚いた。「(ロッテ監督の)井口さんのように打点、本塁打を稼げる選手になりたいです」と、理想の打者像を思い描いていた。【久保賢吾】