阪神は24日、原口文仁捕手(26)が大腸がんと診断され、近日中に手術を受けると公表した。昨年末に人間ドックを受け、年明けに判明。この日からツイッターのアカウントを開設した原口は直筆のメッセージで「早期復帰を目指します」と力強く宣言した。病に打ち勝ち今季中の復帰を目指す。

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ショッキングな内容だった。午後3時。原口は自身のツイッターで「皆様にご報告があります」とメッセージを掲載し、自身の身に起こった病について報告した。「プロ10年目を迎えるにあたり、昨年末、人間ドックを受診したところガンと診断されました」。球団も原口が大腸がんで近日中に手術を受けることを発表した。

球団関係者によると、昨シーズン後の球団の定期健診で疑いが見られ、精密検査、人間ドックを受け、病名が明らかになった。原口はがんの進行度は伏せ、今後について「近日中に手術を受け、そのあとリハビリに励んで早期の復帰を目指します」と記した。2月のキャンプには参加せず、チームを離れて治療に専念し、今季中の復帰を目指すことになる。

原口は今季がプロ10年目。育成枠だった16年に、金本前監督が掲げた「超変革」のもとブレークした。同年4月に支配下に再登録されると、5月には月間MVPに輝き、球宴にも初出場した。

昨季は規定打席未到達ながら、打率3割1分5厘をマーク。代打では08年に桧山進次郎氏(日刊スポーツ評論家)がつくった球団記録の代打シーズン安打「23」に並ぶなど、勝負強い打撃で存在感を示してきた。矢野監督も梅野らとの正捕手争いを思い描いていただけに、その衝撃は大きい。

球団は契約などを変更することなく、復帰をバックアップする。谷本球団副社長兼本部長は「やはり彼の野球に打ち込んでる姿ってすばらしいものがありますので。野球の神様見ておいてほしいなと思う。1日も早く戻ってくることを願っている」と、力を込めた。紆余曲折のプロ野球人生を歩んできた原口はメッセージの最後に「常に前だけを向いて進んできます」と書いた。誰もが背番号94のカムバックを願っている。【桝井聡】

 

<大腸がんとは>

近大医学部辻直子医師(消化器内科) 大腸がんは近年、若い人でも発症するなど、日本人に急激に増えている病気です。がんは日本人の死因のトップですが、部位別では、男性は肺がん、胃がんに次ぐ3番目、女性は1番目の多さです。遺伝的な要素のほか、脂質の多い食事やタンパク質の過剰摂取など、食の欧米化が大きな要因と考えられます。特有の症状に便秘や下痢、血便などがありますが、無症状でも健康診断などの検査で判明することがあります。

ただ肺がんや胃がん、膵臓(すいぞう)がんなどに比べて、治癒する人が多いがんでもあります。高いステージに進んでいたり、肝臓などに転移していても、手術や抗がん剤で治癒したり、寿命が延びることが多いデータが出ています。

胃や膵臓(すいぞう)など栄養を吸収する体の上部の臓器を切った場合は、やせたり体力が落ちるケースが目立ちます。ただ下部の大腸は便をつくることが主な役割なので、手術で切ってもやせたり、体力が落ちたりするケースが少ない。スポーツをされている方でも手術後、早い段階で復帰している方は多いようです。予防方法は野菜や果物の摂取のほか、高脂質の食事を避けたり、肥満のコントロール、運動などが挙げられます。

 

○…阪神藤原崇起オーナー(66=電鉄本社会長)も原口の完治を願った。大阪市福島区の電鉄本社で取材に応じ「焦る気持ちを封印して元の体に戻すことが第一。十分に治療して復帰してもらえたら。まずは治療に専念して欲しい」と祈るようにコメント。「ファームから実力ではい上がってきた選手。期待している選手ですから」とエールを送った。

 

◆原口文仁(はらぐち・ふみひと)1992年(平4)3月3日生まれ、埼玉県出身。帝京から09年ドラフト6位で阪神入団。13年から育成契約となったが、16年4月に支配下に復帰した。同年5月に打率3割8分、5本塁打、17打点の活躍で、育成経験野手としてはプロ野球初となる月間MVPを受賞。同年の球宴にも出場した。昨季は球団最多タイとなる代打での23安打を放った。182センチ、92キロ。右投げ右打ち。